もうすぐこの世に生まれて四年目になる。最近はじい様から体術、それに何故かクナイと手裏剣の修業をさせられていた。


「そうじゃな。もう少し力を抜いて投げてみたらどうかの」

「うん」


じい様に言われた通りに肩の力を抜いて手裏剣を的に投げる。カッ、と鳴って刺さった手裏剣は、ど真ん中に刺さっていた。


「やはりユキは才能があるの」

「そう、かな…?」


才能あるって言われてもなあ。だって、この時代に手裏剣にクナイだよ?体術ならまだ分かるけれど。こんなもの持っていたら銃刀法違犯で捕まるよ。
しかし、私って前世はインドア派だったからなあ。正直書庫でずっと本を読んでいたい。まあ、前世よりも身体能力があることには嬉しかったけどね。


「よし、今日はここまでにしようかの」

「はい。じい様、ありがとうございました」


礼をしてから汗を流しに行って、いつものように書庫へ行く。勿論、セツも連れて。そういえば、私って家の外に出たのって数回しかないや。思えば友達も未だに一人もいない。…考えたら寂しい子だな、自分。まあ、どうせ精神年齢は二十歳だから子供と一緒に遊ぶのは精神的に無理だろうけれどね。でも今度、外へ行ってみようかな。


「あー、今日は何読もうかな…。あっ!ねぇ、セツ。今日はあの奥に行ってみたいな」

「………」


いつも書庫に行って本を読むけれど、未だにあの扉の奥に行かせてくれない。行こうとしたら、いつもセツに止められる。…はっ!もしかしてエロ本が置いてるのかな?でも、ここの書庫は絵本もなければ文庫本さえもない。あるのは歴史書ばかりだ。ここだけエロ本っておかしいよね。考えれば考える程気になる。


「セツ、…駄目?」

「…お前にはまだ早い」

「そう言われると余計気になるよ。ねっ、お願い!」

「………」

「読むだけだから!」

「はぁ…、わかった」

「じゃあ…!」

「ただし、読んでも今は使うな。これが約束だ」

「う、ん…。わかった」


今は使うなって言う意味がよく分からなかったけれど、約束しないと見せてくれないから頷いておく。セツの後ろに続いて扉の奥まで行くと、そこには台座があって、その上に氷野一族秘伝の書って書いた本と、一つの小さな巻物が置いていた。大人の手に納まるぐらいのその巻物を広げると、何故かボンッと煙を上げて大きくなった。えっ、これってマジック?面白いなあ、なんて思いながら中を見ると、何かNARUTOで見たことがあるようなものが書いていた。


「これ、何?」

「時が来たら教える。だから、それはお前が持っておけ。絶対になくすなよ」

「…分かった」


セツは絶対嘘を言わないから、きっといつか教えてくれる。それまで、私はこの巻物をなくさないようにしよう。
その日、私はもらった巻物をポケットに入れ、秘伝書の中身を必死で覚えた。



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