車が突然私にぶつかって来て、目の前が赤く染まる。まさか自分が事故で死ぬなんて思わなかった。まだまだ色々したいことがあったのになあ。私は、生まれて二十年という短さで人生の幕を閉じた。

さよなら、世界。





温かい誰かに抱かれている感覚に目を開けてみると、全く知らない女の人が私の目の前にいた。ここ、もしかして天国?でも、どう見ても普通の部屋にいるよね。私を見つめてくる女の人は疲れた色をしていて、でもどこか幸せそうな表情をしている。うーん、誰なんだろ。こんな綺麗な人、私の知り合いにいないしなあ。
それより、私って車に引かれて死んだはずだよね。それなのに、この状況は一体どうしたのだろうか。


「ふふっ、ユキは本当に可愛いわね。あの人、貴女を見たらきっと鼻血出すかもしれないわ」


いやいや、私は至って平凡の容姿ですからそれはないですよー。むしろ貴女の綺麗なその笑顔に私が鼻血出ちゃいます。あっ、それよりここは何処なのか聞かないと。


「あうー」


あれ?舌が上手く回らないんだけれど、何でかな。しかも女の人に伸ばした手が赤ちゃんみたいに小さい。…うん、気のせいだよね。もう一回試してみよう。


「うー」


……ああ、どうやら私、もう一度人生をやり直さないといけないみたいです。

こんにちは、世界。



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