私達三人は、お昼からの演習に挑戦するためにお弁当を食べる。丸太にもたれるように座れば、隣からナルトのお腹の音が鳴り響いた。
「もうしょうがないなあ。ナルト、口開けて」
「え、むぐっ」
「お腹が減っては軍は出来ぬ、だからね。ほら、どのおかずがいい?」
「ちょっと、ユキ!」
「…ホラよ」
ナルトの口に卵焼きを入れてやれば、サスケもナルトにお弁当を差し出す。なんだかんだ言って、サスケは優しいからね。
「サスケ君まで!さっき、先生がダメって言ってたじゃない!」
「大丈夫だ。今はアイツの気配はない。昼からは四人でスズを取りに行くぞ」
まあ、近くにいるだろうけれどね。私がナルトに食べさせた時点で出て来ないってことは、これが答えなんだろう。あとはサクラだけだよ。早く気づいて。
「…あー、もう!ほら、私のもあげるわ!」
「サクラちゃん…。へへへ、三人ともありがとな」
良かった…。これできっと大丈夫だ。サクラがお弁当をナルトに差し出して食べさせようとした時、ボンと煙りが出てカカシさんが目の前に現れた。ほんと、心臓に悪いんだから。驚いている私達を余所に、怒っていた顔からにっこりと笑顔になり、親指を立てる。
「…?」
「四人とも、ごーかく!」
やっぱり、ね。それにしても、カカシさんの出す試験は難しかったなあ。この試験に今まで誰も受かったことがないって話し、今回で良く分かったよ。
「え、合格!?何で?」
「忍者は裏の裏を読むべし。忍者の世界でルールや掟を破る奴は、クズ呼ばわりされる。…けどな、仲間を大切にしない奴は、それ以上のクズだ」
そう言った時のカカシさんは、凄くかっこよく見えた。おじいちゃんに初めて修行をつけてもらった時、上の命令や掟、ルールは絶対だけれど、それよりも仲間を大切にしなさい、って言われた。あの時は、おじいちゃんがどうしてそう言ったのか理解出来なかったけれど、こういうことだったんだね。
「これにて演習は終わり。第7班は、明日から任務開始だ」
「やったってばよォ!オレ、忍者、忍者!」
「良かったね、ナルト」
本当に良かった。原作は進んでいたから合格するとはわかっていたけれど、イレギュラーの私が入ったことで、もしもの場合があったらと思うとずっと不安だった。
「さて、帰りますか。ユキ、オレも火影邸まで報告に行くから送るよ」
「じゃあ、お願いします」
「ちょっと、ユキ!大丈夫なの?!」
「ん?何が?」
「何が、って先生に決まってるじゃない!こんな怪しいのに」
見た目は確かに怪しいかもしれないけれど、カカシさんは信頼出来る人だ。私がおじいちゃんの次に信頼している人でもある。
「カカシさんは大丈夫だよ。私が信頼している人だからね」
「ユキに信頼されてるなんて嬉しいなー」
ガバッと抱き着いてくるカカシさん。最近、カカシさんからのスキンシップが多い気がする。もう慣れたけれどね。
「ユキから離れなさいよ!この変態!」
「そうだ、そうだァ!」
「…ウスラトンカチ」
「あのさ、オレ、お前達の上司なんだけど…?」
「そんなこと、関係ないわよ!」
「あはは…。カカシさん、元気出して」
これから、私もこの第7班でやっていくんだ。…さあ、ここからが始まりだ。
◎次からやっと波の国編。