次の日。まだ朝日が上っていない少し薄暗い道をセツと歩く。演習場へ集合時間ちょうどに行けば、既に三人共来ていた。こんな朝早いのに、あのナルトが遅刻していないなんて珍しい。


「あーっ!ユキってば、やっと来た!」

「おはよー。皆、早いね」

「おはよう。ユキは集合時間ぴったりね」

「あはは。カカシさん遅いだろうし、いいかなって思って」


カカシさんは私との約束には遅刻して来たことないけれど、紅さん達の間では遅刻魔で有名らしいからね。だから今日は遅れて来るだろうって予想して、家をギリギリに出て来た。


「…お前、あいつのこと知ってんのか?」

「うん。アカデミーに入る前からの知り合いで、よくお世話になっているの」

「ふーん。まあ、確かにユキの言う通り、集合時間になっても来ないわよね」

「でしょ?多分まだ来ないと思うから気長に待った方がいいよ。ってことで、カカシさんが来るまで私は寝るね。おやすみ」


朝が苦手ってわけじゃないんだけれどね。昨日の夜、本を読むのに夢中になってしまったせいで睡眠時間が二時間なんだよ。すぐそこにあった木の下に行き、セツを膝に乗せて座れば、すぐに眠気が襲ってくる。意識が落ちる前にサクラが何か言っていた気がするけれど、睡魔には勝てなかった。


「ユキ、起きて」

「んー…、もう…少し」

「寝かせてあげたいんだけれど、起きてくれないと困るんだよね。あ、起きたら団子買ってあげるよ」

「……!」


団子と聞いて起きれば、目の前に笑顔のカカシさんがいた。…嘘。もうそんな時間が経ってたんだ…。


「おはよう」

「お、はよう…ございます…。その…、すみません」

「いいよ。ユキの寝顔見て癒されたし、得したから」

「そう、ですか…?」

「何言ってるのよ、この変態!ユキ、寝ぼけてないで目を覚まして!」

「うん?」

「はは…。…ま!早速だけど、始めるとするか」


そう言って、カカシさんは持っていた時計をセットする。私達の初の任務内容は、カカシさんからスズを取ること。でもスズは三つしかなくて、取れなかった一人は必然的に丸太行きになるというもの。それに、任務が失敗すれば最低一人はアカデミーへ戻ることになると言う。…やっぱり何かが引っ掛かる。


「手裏剣も使っていいぞ。オレを殺すつもりで来ないと、取れないからな」


それにサクラとナルトが危ないって言うけれど、カカシさんは本当に強いからね。多分四人でかかって行っても、勝てるかどうかだ。


「(ん?四人でかかって行く…?…あ、そっか!そういう意味ね!やっと、この“任務”の意味が分かったよ)」


何でもっと早くに気づかなかったんだろう。カカシさんが今まで言ったことをよく考えれば分かることだったのに。カカシさんは、遠回しに答えを私達に教えていたんだから。


「もう強がるなよ。世間じゃ、実力のない奴に限って吠えたがるからな。ま、ドベはほっといて、よーいスタートの合図で」


カカシさんがわざと挑発するように言えば、案の定、その挑発に引っ掛かるナルト。ホルスターからクナイを抜き、カカシさんに投げようとするけれど、いつの間にか後ろへと回ったカカシさんに止められていた。…流石上忍、だよね。目が追いつかなかった。


「そう慌てんなよ。まだスタートは言ってないだろ。でも…、オレを殺ろすつもりで来る気になったようだな。なんだかな、やっとお前らを好きになれそうだよ。…じゃ、始めるぞ!よーい…」


スタート、と言うカカシさんの合図と共に全員散らばる。さあ、サバイバル演習という名の“任務”の始まりだ。



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