ナルトの大きな笑い声で目が覚めた。もしかしてカカシさんが来たのかな。セツのお腹の上に乗せていた頭を上げれば、ナルトが仕掛けたブービートラップに引っ掛かって粉まみれになったカカシさんがいた。
「んー…なんて言うのかな。お前らの第一印象は、嫌いだ!」
ズーン、と重くなる三人。私と目が合ったカカシさんはニッコリと笑う。この笑顔は何か企んでいる時だ。ってことは、ブービートラップに引っ掛かったのもきっとわざとなんだね。カカシさんもナルトには及ばないけれど、結構イタズラ好きだ。
「…あっ、ユキ!やっと起きたのね。今、先生が来たところよ」
「そうみたいだね」
「よし。それじゃ、そこの女の子も起きたみたいだし移動するか」
カカシさんに連れられてテラスに行く。手すりに座ったカカシさんが一人ずつ自己紹介をしてもらおうか、と言えば、サクラとナルトが先にカカシさんの自己紹介を促す。
「オレは、はたけカカシって名前だ。好き嫌いをお前らに教える気はない!将来の夢…って言われてもなあ…。ま!趣味はいろいろだ」
「ねェ…、結局わかったの名前だけじゃない…?」
「あはは…」
忍は、そう簡単に個人情報を漏らさないからなあ。でも、好きなものぐらい言ってもいい気がする。
「じゃ、次はお前らだ。右から順にね」
「名前は、うずまきナルト!好きなものはカップラーメン。もっと好きなものはイルカ先生に奢ってもらった一楽のラーメン!嫌いなものは、お湯を入れてからの三分間」
ほんと、ラーメンのことばっかりだね。ナルトらしいけれど。でも、毎日ラーメンじゃあ体に悪いよ。それに身長も伸びないと思うんだ。
「将来の夢は…火影を超す!ンでもって、里の奴ら全員にオレの存在を認めさせてやるんだ!」
ナルトならきっと火影を超せる。それに皆認めるぐらい強くなれるんだから。でも、最後の趣味がイタズラっていうのは、いらなかったね。
「次!」
「名は、うちはサスケ。嫌いなものなら沢山あるが、好きなものは別にない。それから…夢なんて言葉で終わらす気はないが、野望はある!一族の復興と、ある男を必ず…殺すことだ」
やっぱりサスケはイタチさんのことを憎んでいる。本当のことを知れば、きっとイタチさんのことを許すかもしれない。でもあの人自身がサスケに恨まれようとしているから、私にはどうすることも出来ないんだ。
「…よし、次の女の子」
「私は、春野サクラ。好きなものは…ってゆーか、好きな人は…」
チラチラと隣のサスケを見るサクラ。乙女全開だね…。いや、私は恋する女の子は可愛いと思うけれどね。でも、カカシさんは凄く引いたみたい。
「嫌いなものはナルトです!」
もう清々しいぐらいにきっぱりと言い切るサクラ。…ドンマイ、ナルト。
「じゃあ、最後の女の子」
「私の名前は、氷野ユキです。こっちは相棒のセツ。好きなものは甘いものと散歩と昼寝。それに木ノ葉の里、かな。嫌いなものは、大切な人達を傷付ける人です。将来の夢は大切な人を守れるぐらい強くなること。趣味は修行と読書です」
「ん、頑張ってね」
「はい」
「よし、自己紹介はそこまでで、明日から任務やるぞ」
「はっ、どんな任務でありますか!?」
ナルトは任務と聞いて嬉しそうだ。最初の任務は、確かサバイバル演習だった、よね?どんな内容だったか全然覚えてないけれど。と言うより、中忍試験の前までは全くって言っていいほど覚えてないんだよね。
「まずは、この五人だけであることをやる」
「何、何?」
「サバイバル演習だ」
「サバイバル演習?」
「アカデミーで散々やったわよ」
サバイバル演習と言うカカシさんに不満そうにする三人。サクラの言う通り、アカデミーで散々やってきたから不満に思うよね。でも、今更演習するのには何か意味があるはず。あー、どんな内容だったのか本当に思い出せない。
「相手はオレだが、ただの演習じゃない」
「じゃあさ!じゃあさ!どんな演習なの?」
「ククク…」
「ちょっと!何がおかしいのよ、先生!」
「いや…、ただな、オレがこれを言ったらお前ら絶対引くから」
「引くゥ…?」
超難関試験だということを説明するカカシさんに、三人の顔が青ざめる。うーん…、28名中下忍に認められるのが9名か10名っていう数が気になるなあ。
「忍び道具一式持って来い。それと、朝めしは抜いて来い。吐くぞ!」
「吐くって、そんなにキツイの!?」
うん、私は絶対食べるからね。朝ご飯抜いて動くなんて私には無理だもの。それにカカシさんのことだから、きっと何か裏がある。
「詳しいことは、プリントに書いといたから。明日遅れて来ないよーに!」
プリントを受け取る時、カカシさんと目が合えば、またあの笑顔を浮かべる。…やっぱり何か企んでいる。