今日は、ついにアカデミーの卒業試験。試験内容とかは覚えてないけれど、記憶が確かであればナルトはこの試験に落ちるんだったよね。このあとのナルトの気持ちを思うと気分は晴れないけれど、これはナルトにとって試練だから私は見守るしかない。
「ユキー!」
「あっ、いの。おはよー」
「おはよう。いよいよね!」
「うん。…なんか緊張してきたかも」
「あんたは大丈夫でしょ。私が言うんだから自信を持ちなさい!」
「あはは、ありがとう」
いのと話していると、イルカ先生が教室に入ってきた。試験の内容は分身の術。ナルトが尤も苦手とする術じゃないか。少し離れた席に座っているナルトを見れば、顔が引きつっていた。イルカ先生の説明が終わり、名前を呼ばれた人から教室を出ていく。
「次、氷野ユキ!」
「はい。よろしくお願いします」
ついに私の名前も呼ばれて、言われた部屋に入る。分身は何体ぐらいがいいのかな。五体出しておけば、きっと大丈夫だよね。先生達の前に立って印を結び、私そっくりな分身を五体出せば合格と言うイルカ先生。
「これが額当てだ。よく頑張ったな」
「ありがとうございます。イルカ先生、今までお世話になりました」
「ああ。これからも頑張るんだぞ!」
「はい」
額当てを持ってセツが待っている教室に戻る。テストに呼ばれるのが最後の方だったからか、教室には数人の生徒しかいなかった。
「あっ、ユキちゃん!良かった…。合格したんだね。おめでとう」
「ありがとう。ヒナタも合格おめでとう!」
「あ、ありがとう。…あのっ、ユキちゃん!」
「うん?」
「そ、そのっ…、額当て、同じところにつけない、かな…?」
「いいの?」
「うん。私、ユキちゃんとお揃いがいいなって思って…。それで待ってたの」
この可愛い生き物はなんですか…!ヒナタとお揃いだなんて嬉しすぎるよ。それに、ずっと額当てをつける場所に迷っていたからヒナタの申し出は有り難かった。
「私もヒナタとお揃いがいいな。ヒナタはどこにつけるの?私、つけるところ決まってないからヒナタに合わせるよ」
「えっと、首につけようかな、って…。で、でも、ユキちゃんが嫌だったら……」
「嫌じゃないよ。私、ヒナタと同じところならどこでもいいんだから。ね?」
「…ありがとう」
「じゃ、額当て付けよっか」
「そうだね」
いくつになっても、友達と何かをお揃いにするというのは嬉しいものだ。