今日もいつものようにつまらない授業を受ける。授業内容は教科書に書いていることそのままだから、本当につまらない。右隣のサクラを見てみれば、熱心に先生の話しを聞いている。流石。左隣のシカマルなんか、夢の世界に飛び立っているのに。
「…いい匂いがする」
私の膝の上に寝ていたセツがむくっと起きて、鼻をくんくんさせる。確かにどこからかいい匂いがする。匂いの元を辿ると、前の席の方に座っているチョウジが教科書を立てて早弁をしていた。ってことは、ナルトも早弁しているよね。チョウジの横の席を見てみると、いつも一緒に早弁しているはずのナルトがいなかった。珍しい。
「ねぇ、ユキ」
「ん?何、サクラ?」
「あれって、ナルトじゃないかしら?」
「あっ、」
サクラに言われて窓の外を見てみれば、火影岩にペンキで落書きをしているナルトがいた。あーあ、どうなっても知らないからね。後で泣きついて来ても手伝わないんだから。
「火影岩に何やってるのよ、あいつ」
「まあ、ナルトだからね」
よくあんな危ないことをするよね。あっ、ナルトを吊しているロープがゆらゆらと揺れている。ああ、もう見てられない。なんて、よそ見をしていたからか、先生に当てられた。
「ユキ、この問題を解いてみろ」
「…です」
「正解だ。もうよそ見をするなよ」
「はーい」
つまらない授業と休み時間も終わり、次の授業の時間になって席に着くと、縄でグルグルに巻かれたナルトとそれを引っ張りながら文句を言うイルカ先生が教室に帰ってきた。怒られても反省しないナルトに、先生がついにキレる。
「今日の授業は、変化の術の復習テストだ!全員並べー!」
「あーあ」
ナルトのとばっちりで復習テスト。一列に並び、一人ずつイルカ先生に変化していく。イルカ先生そっくりに変化していくのボーッと見ていると、私の番が回ってきた。
「次は氷野ユキ!」
「はい」
「ユキちゃん、頑張ってね」
「ありがと、ヒナタ」
イルカ先生に向かい合うように立って、印を結んで先生そっくりに変化する。イルカ先生に合格と言われ、何事もなく席に戻る。次はナルトの番だ。
「よし、次はうずまきナルト!」
イルカ先生に言われて印を結ぶナルト。イルカ先生にちゃんと変化出来るかな。ナルト、変化の術苦手だからなあ。ポンッと煙りと一緒に出てきたのはイルカ先生ではなく、スタイル抜群の裸の女の人だった。それを見たイルカ先生は鼻血を出して倒れる。…あれは刺激が強すぎるよね。
「なーなー、ユキ!オレのおいろけの術、どうだったってばよ」
「スタイル抜群だね。どこでそんなこと学んだの?」
「ニシシ。それは秘密だってばよ!」
「そう。それよりナルト。後ろを見てみなさい」
「げっ……」
鼻にティッシュを詰めたイルカ先生が、額に青筋を浮かべて立っていた。自業自得だね。イルカ先生の怒鳴り声がアカデミー中に響き渡った。