アカデミーの授業が終わり、いつものようにセツと帰る。今日は色々あったなあ。
「…おい」
「精神的に疲れた気がする」
「おいって!無視するなよ!」
「えっ、あ、…サスケ?」
「何帰ろうとしてんだよ。今日、オレの修業に付き合えって言っただろ」
「あれ、本当だったんだ?」
「当たり前だろ」
サスケが先に帰っていたから、冗談だったのかなって思っていたのに。でも、修業って二人で何するんだろ。体術とか手裏剣とかならいいけれど、忍術は無理だよ。私、サスケが得意な火遁の術は本当に苦手だから。水遁と風遁と氷遁なら得意なんだけれど、火遁と土遁だけは無理なんだよね。雷遁はどうにかやれば出来ないことはないけれど…。とにかく忍術は遠慮したい。
「そういえば修業って何処でするの?」
「オレがいつも行く演習場」
それってきっと、あのイタチさんとよく修業する場所だよね。運が良ければ兄さんに修業を見てもらえるかも、って嬉しそうにサスケが話すことから、あの事件はまだなんだってことが分かった。
「なァ、お前っていつも修業してるのか?」
「ん?まあ、毎日かな…。それより、お前じゃなくて名前で呼んで欲しいな。私だってサスケの名前呼んでるんだから、ね?」
「分かった。…ユキ、でいいんだろ」
「うん」
顔を赤くして言うサスケは、子供らしくて可愛かった。思ったけれど、今のサスケは口調や表情に鋭さがないんだよね。生意気な子供程度。ずっとそうだといいのにね。何年後かのサスケより絶対いいと思うよ。
「気になってたんだけどよ、そいつってユキの忍犬か?」
「セツ?忍犬じゃないよ」
「犬ではなくて狼だ」
「しゃ、喋った……!」
私の横を歩く姿は確かに犬にしか見えない。実際、私も生まれて五年ぐらいは犬だと思っていたからね。大きさもキバの相棒の赤丸より少し大きいぐらいで、小さい頃の私が感じていたよりもずっと小さい。よく私の肩や頭に乗せたりしているぐらいだから、子犬だって言われても納得すると思う。本人?は、それが嫌らしいけれど、私としては小さい方が助かるんだよね。
「…触ってみてもいいか?」
「いいよ。はい」
「わっ…、すっげェふわふわしてるな!」
「………」
「あははっ!セツ、そんな顔しないの」
セツを渡すと、嬉しそうに撫でるサスケ。こうしていると可愛いのになあ、ほんと。