アカデミーに入学して数年が経った。


「おはよー、シカマル」

「お前、遅刻かよ」

「あはは…。昨日、夜遅くまで本読んでたら寝坊しちゃった。で、今から何するの?」

「めんどくせーけど、組手するんだってよ」

「組手かあ」


今日は、男女関係なく自由に組んでもいいらしい。私は誰と組もうかな。シカマルはチョウジと組むって言ってたなあ。周りの子達も皆ペアがいるみただし、どうしよう。女の子を殴るのは嫌だから、やっぱりここは慣れているナルトと組むかな。さて、ナルトは何処どこだろうか。


「おい、」

「へ?って、う、うちはサスケ君?!」

「お前、オレと組め」

「は…?」

「だから、組手で一緒に組もうって言ってんだよ」

「う、うん……?」


びっくりした。気迫に圧されて思わず頷いてしまったよ。まさかサスケに声をかけられるなんて思わなかった。でも、何で私なのかな?…後で、いのとサクラに色々聞かれそうで怖い。


「ね、ねぇ。どうして私と組みたいの?」

「お前、この中で強いだろ。修業しているところを見たことあるんだよ」

「いや、私、強いか分からないよ…?」


修業を見られてたのか。って、いのとサクラがこっちを思いっきり見てる。怖い怖い、二人の目が怖いよ。お願いだから違う人と組んで下さい。さっきから二人の視線が突き刺さって痛い。


「やってみないと分からないだろ。ほら、次行くぞ」

「えぇっ!」


ズルズルとサスケに引っ張られ、円の中に入らされる。…もう後戻り出来ないじゃない。見学をしている女の子達から、悲鳴やらブーイングが聞こえて来る。私、アカデミーは地味に普通に過ごしたかったのになあ…。チラッと見学組をみると、ナルトとチョウジとヒナタが不安げに見ていて、シカマルとキバが哀れみの目で見ているのが目の端で見えた。いのとサクラは……うん、見なかったことにしよう。


「本気で来いよ」

「う、うん」

「それじゃあ、対立の印をして」


イルカ先生に言われ、片手印を組む。もうやだなあ。でも手を抜けば何か言われそうだし、本気でやるしかないよね。


「それでは始めっ!」


合図と共にサスケが蹴りをいれてくる。それをしゃがんで避け、私は足払いをかける。だけど、サスケもそれを飛んで避けて私に殴り掛かる。やっぱりサスケはこの中で一番強いなあ。でも、私だって毎日修業しているからね。精神年齢で考えると大人気ないかなって思うけれど、勝たないと私に教えてくれた人達に失礼だもの。私はサスケの拳を避けて、突き出されたその手首を掴み、そのまま投げ飛ばす。そして、倒れているサスケの前に拳をやれば、私の勝ちと言うイルカ先生。


「すっげェ…」

「ユキがサスケ君に勝った…」


よし、終わった。和解の印を終わらし、足早にセツが待っている列の一番後ろに戻る。私が地面に座ろうとしたら、突然誰かに腕を引っ張られた。振り返れば引っ張ってきた相手はサスケ。


「どうしたの?うちはサスケ君?」

「そのフルネームで呼ぶのやめろよ。…サスケでいい」

「う、うん。分かった。えっと、さっきはごめんね?背中痛くない?」

「あれぐらい平気だ」

「良かった。それで私に何かな?」

「今日、オレの修業に付き合えよ」


付き合ってほしいじゃなくて、付き合えって…。何で命令系なんだ。私に拒否権ってものはないのか。この人、クールとかツンデレとかじゃなくて、ただの我が儘少年でしょ。…なんて、いのやサクラには口が裂けても言えないけど。



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