任務が終わり上忍待機所に行けば、中からユキが出て来た。
「あっ、アスマさん!こんにちは。お仕事お疲れ様です」
「よォ。ユキがここに来るなんて珍しいな」
「カカシさんに用事があったんですよ」
「そうか。今から、また修業か?」
「はい」
「頑張れよ」
「ありがとうございます。では、失礼します」
礼をして去っていくユキ。相変わらず、子供とは思えない礼儀正しさだよなァ。もう少し子供らしくしてもいい気がするが…。あれがあいつの素だもんな。
「何突っ立ってるのよ?中に入らないの?」
「ああ、紅か。お前も任務が終わったところか?」
「ええ」
このあと任務が入らなかったら、茶でも誘ってみるかな。紅と一緒に待機所の中に入れば、イチャイチャパラダイスを読むカカシがいた。それを見た紅の顔が歪む。…ユキがいる時もあれ読んでんじゃねェよな。しかし、最近のカカシは雰囲気が変わったよなァ。
「カカシ、最近変わったよな」
「えっ、来て早々何?」
「いや、何か前より柔らかくなったなって思ってよ」
「確かに近寄り難い雰囲気がなくなったわよね」
「そう?」
紅の言う通り、近寄り難い雰囲気もなくなった。思えば、最近のカカシはよく笑うようになった。前が無表情だったわけじゃないが、いつも貼付けたような笑顔を浮かべている感じだった。それが最近少なくなった気がする。
「…なあ、もしかしてユキと何かあったのか?」
「ぶっ」
「おいおい、当たりかよ」
「…何でそう思ったわけ?」
「いや、さっきもだが、最近ユキといるところをよく見かけるしよ。それに、あいつを見る時のお前の目が優しいからな。もしかして、って。で、何があったんだ?」
最近、ユキとカカシが仲良さそうに一緒にいるところを見かけることがある。それも、こいつ、暇さえあればユキと一緒にいるんじゃねェのかって思うほど頻繁にだ。
「んー…、ユキに自分のこと話したら、ずっとモヤモヤしていたものがすっきりしたから、かな?」
「そうか。良かったな」
今まで口にはしなかったが、どうもカカシが心配だった。忍ってもんは嫌でも常に死が隣り合わせだが、カカシは自分からそこに行っているように感じがした。死に急いでいるような気がした。いつか、こいつは死ぬんじゃないかって。誰だって自分の仲間が死ぬのは嫌だ。だから、カカシが変わったことに安心した。
「何かさ、ユキって子供らしくないよね。話してると、同じ歳ぐらいの子と話している感じがするんだよ」
「そうだな」
「ほんと、不思議な子だよ。…あの子なら何でも受け止めてくれるって気がするんだ」
「何だァ?あいつに惚れたとか言うんじゃねェよな?」
「あはは、そうかもねー」
「……マジかよ」
「…ユキを泣かすようなことがあったら、私とアンコがただじゃおかないからね」
「それは怖いね」
ユキは歳の差とか気にするような奴じゃないだろうが、自分のことに関しては鈍感だからなァ…。カカシは大変だろうな。