「こらあああ!ナルト!」
久しぶりに寝坊して遅刻ギリギリの登校をした私が扉を開けると、ナルトが突然教室から飛び出してきた。また、何かやらかしたんだね。イルカ先生の額には、怒りで青筋が浮き出ている。ここまで怒らせるって本当に何やったんだか。イルカ先生が可哀相になって、走って逃げようとしていたナルトの襟首を掴んで止めた。
「ちょっ、ユキ!放せってばよ!逃げないとやばいんだって!」
「怒られるようなことしたからでしょ。今回は何したの?」
「……イルカ先生の引き出しにカエルを入れたんだってばよ」
「はぁ……。何やってるのよ。イルカ先生に迷惑かけないの!ほら、私と一緒に謝りに行こう」
「……やだ」
「ナルト」
「…わ、分かったってばよ!」
成り行きを見ていたイルカ先生の前まで、ナルトの手を引っ張って行く。イルカ先生の手には、カエルのせいで汚れたのであろうドロドロの教科書。うわあ…、あれは誰だって怒るよ。
「ほら、ナルト。先生に言うことは?」
「………」
「ナルト、」
「…ご、ごめん、なさい」
「先生、ナルトも反省しているから許してあげて下さい」
「あ、ああ」
「ナルトは、もうこんなことしちゃ駄目だからね。分かった?」
「………」
「ナルト、分かった?」
「……分かったってばよ」
シュンとしたナルトにイルカ先生も反省したと思ったのか、あっさり許してくれた。でも、ナルトがこれぐらいでイタズラをやめるわけないけれどね。だって趣味がイタズラって前に言ってたし。
「先生、もう座ってもいいですか?」
「ああ、いいぞ」
席に着くと、隣に座っているシカマルが哀れみの目を向けてきた。私何かしたっけ?
「何、シカマル?」
「お前、今日で先生からナルト止め係りに任命されたな」
「えっ?」
その日からシカマルの言う通り、ナルトが何か仕出かせば私が駆り出されるようになった。