正直こうなるなんて思ってもいなかった。
だって、これは、流石に。

「きよしー、なあー、どこみてんだー?」

顔を真っ赤にして、俺の腕に絡みついてくる花宮。
片手にはウーロン茶。
かと思いきや。

「花宮お前それウーロンハイ…!!」

アルコールの匂いがほんのりと漂ってくるそれ。
それを気にせず花宮はウーロンハイを飲み干す。
空っぽになった缶を放り投げ、ゴミ箱にいれる。
どうやらしっかりはいったようで。
よっぱらっていても流石バスケ部主将。

「花宮ほら水飲め水、んで寝ろ」
「やあだーなあきよし、きよしものも?」

そしてどっから出してきたのかもう一本、それも普通のカクテルを持っていた。

「お前ほんと…!どうやって買ってきたんだ!」
「しらねえ。はらがくれた」
「原!?」
「うん、うふふー」

酔っぱらっているせいか、花宮の身体は熱を持っていて。
顔も真っ赤で。
はっきり言うと、エロい。
薄くて赤い唇から洩れる吐息だとか、腕に抱きついてくるしぐさとか。
しかし、相手は酔っ払い。
今此処でおいしく頂いたとしたら次の日の花宮の機嫌は急降下だろう。
それだけは何としてでも避けたかった。

最近俺も花宮も忙しくて、中々会う時間がなかった。
通う高校も違う為、登下校の時間も休み時間も少しだけずれていて、連絡がなかなかとれなかった。
メールはしていたけれど、電話はできなかったから、声をきくのも久しぶりのことで。

「…さびしかったんだから、かまえ、ばぁか」

腕を掴む力がだんだんと強くなり、それに伴って俯いていく花宮。
唇をかみしめているようにも見えて。

「…花宮」
「ばか、きよしのばぁか、かまえ、ばか」
「うん、ごめんな」
「ばーか…」

そのまま抱きついて離れない花宮をひっぺがし、正面から抱きしめる。
アルコールが回ってきているのだろう、ウトウトし始めていた。
普段は本心を出さない子だからきっと、アルコールに頼ったのだろう。
そうでもしないと言えないことに苦笑する。

「ほら花宮、ベッド行こう。一緒に寝ような」
「…うう?」
「一緒のベッドで寝て、目が覚めたらおはようって言って。そこから何処かに出かけようか」
そうしたらきっと楽しいさ。

その言葉をつづる前に、花宮は眠ってしまったようで。
腕の中ですうすうと寝息を立てていた。
人前で眠ることが滅多にない花宮が、自分の腕の中で眠っている。
相当気を許してくれているのだろう、それから、寂しかったのだろう。

「おやすみ、花宮」

髪にひとつキスを落とす。
それから、落とさないように抱き抱える。
前よりも軽くなった身体に眉をひそめながらもベッドに向かった。

さて、明日はどうやって甘やかそうか。

明日の予定を頭の中で組み立てながら、自室のドアを閉めた。



本心はちゃんと言いましょう。
(滅多に言わない君の本心、やっと掴めた核心。)

――――――――――――
詩依様リクエストの「よっぱらってつい本音がでてしまう花宮」でした。
甘くないですねすみません…
花宮はあまりお酒に強くなさそうですね。
それこそ缶チューハイ1本で酔ってしまいそうです。
リクエストありがとうございました!

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