部活が終わって、誠凛のみんなと一緒に帰路について。
火神が腹が減ったというからマジバによって。
各々食べたいものを注文して、席くっつけてわいわい騒ぎながら食べて。
相変わらず火神は大食いで、反して黒子は少食で。
お前らお似合いだよ、って日向が笑って。
それをコガが茶化して、二人が真っ赤になって。
食べ終えるのに時間がかかってしまって、みんなでどたばた急いで片づけて。
マジバで解散して、俺は自販機でコーヒーとカフェオレを買い、ポケットにいれた。
今日はとても楽しい日だった。
そう、とても楽しい日。
そう言い聞かしていた。
そんな時だった。
「やあ木吉、今日はいつもより1時間も遅いから心配したよ!」
後ろから、声をかけられた。
「…花宮」
「随分とシケた面だな。今日は誠凛全員でマジバに行ったんだろ?よかったじゃねえか仲良しこよしできてよ」
振り向けば花宮が、塀の上に座っていて。
其処は人の家だぞ、と注意してみる。
「そんな楽しい日に俺みたいなのに会ってしまって残念だね!」
けらけらと、人を欺くかのように、嘲笑うように笑う。
その姿はとても、―――妖艶で。
くらくらしてしまいそうなほど、俺には魅力的だった。
「なーにぼーっとしてんだよ。現実逃避か?」
「まさか。花宮が美しすぎてどうしようかと思ったところだ」
「ふはっ、思ってもねえことを」
「ちゃーんと考えてるぞ?今日は来てくれるのかとか、いつ会えるかだとか」
先ほど買った缶コーヒーを花宮に放り投げる。
花宮はうまくキャッチできたらしく、怪訝そうな目で缶コーヒーを見つめていた。
「…なんだよこれ」
「見ての通り缶コーヒーだが」
「なんでお前がブラックなんて持ってんだよ。苦手なくせに」
「お前に渡すために買ったからな」
「訳わかんねえことすんじゃねえよ」
「1時間も待たせてしまったからな、寒かっただろ?」
鼻、真っ赤だぞ?
そう言って自分の首にかけていたマフラーを花宮にまいてやる。
花宮は相当寒かったのだろう、鼻の頭は真っ赤だし、髪も冷えていた。
暖をとるように缶コーヒーを持っていることから、手の先も冷え切っているのだろう。
「さ、帰るか」
「おう帰れ。じゃあな」
そう言って塀から降りて逆方向に行こうとする花宮の腕を掴む。
「…んだよ」
「何処行くんだ?ほら、帰ろうぜ」
「…は?」
「今日泊ってくだろ?」
「泊るわけねえだろバァカ」
「泊ってくれよ。うち今日誰もいなくてさびしいんだ。な?」
こう言えば花宮がうなずくことを知っている。
なんて言えば怒られそうだから言わないが。
「…俺はなんもしねえからな」
「ああ、居てくれるだけでいい」
ふてくされたような顔で、了承をしてくれるあたり優しいと思う。
それに、可愛い。
腕を掴んでいた手を離し、花宮の手を握る。
「おっまえ、ばかじゃねえの!?」
「馬鹿じゃないぞ?夜だし大丈夫だって」
「大丈夫なわけねえだろ…!」
ぶんぶん、大きく手を振って振りほどこうとする。
が、いかんせん俺のほうが力が強いためほどけるはずなどなく。
その姿を堪能した後、手をひっぱり歩き出す。
驚いたような顔をしながら、ついてくる花宮はとてもかわいらしかった。
花宮がしていることは正直言ってストーカーなわけだし、普通なら嫌悪すべきだろうけれど。
花宮にされるのなら大歓迎だと思ってしまうあたり、もう感化されてしまっているのだろう。
さて、家ではどうやって可愛がろうか、なんて。
不純なことを考えながら、手を引いて歩いていった。
仮面被った君とご対面
(仮面の裏なんてとっくに見えているのにね)
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リクエストの
「ナチュラルストーカー花宮の木花」でした。
ナチュラルじゃないですねすみません。
あと木吉がどうみても病んでますどうしてこうなった…
リクエストありがとうございました!
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