ねた

** 化け物と人間が交差する※木花 <<more

この人はなにを言っているんだろう
嗚呼でもずっと傍に居た気がする
ずっと俺の傍にいて、ずっとなぐさめていてくれた気がする
けど思い出せない
どうして笑っていられるんだろうか

「あいしてるよ てっぺい」

てっぺい?
てっぺいって、誰だ

「おやすみ」

おやすみ?
なんだったっけな、その言葉
嗚呼、眠るときに言う言葉か
その人はその言葉を言って眠ってしまったようだ
けれどここで寝るのはしんどいんじゃないかな

なあ、起きてくれよ

俺には此処が何処かわからないんだ
帰れないんだ
さっき帰ろうって言ったじゃないか
なあ、案内してくれよ
俺はばかだから、帰り方を忘れてしまったよ


―――頭が痛い
声が響く。

「木吉」
「飯できたっつってんだろうが」
「さっさと風呂はいれ」
「…一緒に寝ろだあ?お前いつもベッドにもぐりこんでくんじゃねえか」
「今更だろうが、バァカ」
「甘えすぎだろ、お前」
「ふはっ、仕方ねえから付き合ってやるよ」

誰の声だろうか。
さっきまで、聴いていた気がするのに。
頭が痛い。
声が響く。
その人を知っている筈なのに。

ふと前をみた。
その人はまだ眠っていた。

「…は、なみや」

浮かんだ名前を呟いてみても、もうその人は動かなかった。
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