マリンスノーに祝福を | ナノ


▼ 他愛のない1コマ


「千星起きろ」
「んー……リボーン?」
「昨日の四時頃どこにいた」
「よじ……。朝の?」
「夕方だ。寝てたか?」
「──ううん、起きてた」

 寝起き独特の声でそう言えば、リボーンの横で棒立ちしていたツナが大声を上げる。それにしてもなんで四時なんだろうか。ツナがやけに驚いているのも気になる。

「どうかした?」
「ランボが帰ってきてないんだよ。夕方の五時頃に姿を見て以来どこにもいないんだ」
「……おれはてっきりどこかに遊びに行ってるのかと思ってたけど」
「オレも! でもリボーンが事件に巻き込まれたかもって言うんだ」

 事件ねぇ。探偵のコスチュームを着てにやりと笑ってるこいつが、ランボさんの心配をしているようには思えない。ツナはまたリボーンのお遊びに巻き込まれたらしい。

「つまり、おれが四時以降何をしてたのか聞きたいんだな」
「飲み込みが早くて助かるぞ」
「そんな格好で来れば誰だってわかるよ。んー……確かビアンキに叩き起こされたのが四時頃だったと思う」
「叩き起こされた?」
「うん。奈々さんとケーキ屋行くから来いって無理やり」

 正確には叩き起こされたのではなく、全然起きようとしないおれにしびれを切らせたビアンキが、四つん這いで襲ってきたのだ。首筋を、こう……。その時長い髪が肌に触れてくすぐったかった。

「あれは本気でやばいと思ったな」
「え、何の話?」
「なんでもないよ。で、おれは奈々さんとビアンキと三人でケーキ屋に向かったんだ。そしたらイーちゃんとハルちゃん、」

 続きを言おうとしたが急いで口を閉じた。なぜならおれは、獄寺に真実を黙っていてほしいと口止めをされている。

「千星?」
「ああ。イーちゃんとハルちゃんに会って、五人で一緒にケーキを食べることになったんだ。そしたら学校帰りの武と獄寺が店の前を通った」

 ほっと胸を下ろすツナ。どうやら知人の名前が全員出てきてみんなのアリバイが成立したと思っているようだ。
 登場人物はあっている。でも実際は獄寺とハルちゃんが口喧嘩をしていておれ達がそこへ近付いたら、ビアンキを発見した獄寺がひっくり返って気絶したのだ。
 その後武が気絶した獄寺を家に運んだのだが、自分の慕うボスの耳にそんな情けない話を入れたくないと思った忠犬獄寺は全員に黙ってくれと頼んだ。

「ケーキ食べて家に帰ってきたのが六時くらいだったな」
「なるほどな」
「うん。これで満足?」
「ああ」

 にやりと笑うちびっこ名探偵。キャスケット帽がいい味を出している。さて、この二人は真実に辿り着けるのだろうか。
 でも結局ランボさんはどこに行ったのだろう。全ての謎が解けたのは、それからもう暫くしての事だった。



20090211

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