マリンスノーに祝福を | ナノ


▼ ぱんつ


「で、リボーンのヤツ何したと思う!?」
「さぁ」
「オレに死ぬ気弾撃ったんだよ! お陰で授業はめちゃくちゃになるわ、その後のみんなの視線が痛いわで大変だったんだから!」
「そ、それは大変だったね」

 学校から帰ってきたツナは、おれに今日の出来事を聞かせていた。マシンガントークが止まらない。この相当濃い内容は、授業参観中に起こったことらしい。
 だから家の中があんなに静かだったのかと一人納得する。授業参観のことは小耳に挟んでいたが、まさか全員で出動してるなんて思いもしなかった。

「死ぬ気状態ってことはずっとパンツでいたのか?」
「そうだよー! うー恥ずかしい……」

 頭を抱えるツナ。そうか、やはりツナもパンツになるのか。今の所、死ぬ気弾をくらったのは京子ちゃんとハルちゃん以来見てない。何故なら夕方にしか起きないし、たまにフラリと出掛けるから見る機械が今までなかった。

「ささやかな疑問だけどさ、ツナってトランクス派?」
「え?」
「実はブリーフ?」
「違うよ違う! トランクス! ……ってどうしてこんな事叫ばなくちゃいけないの!」
「謎だね」
「謎なの!?」

 目の前の少年はがっくりと肩を落とした。その様子を見ておれはクスクスと笑う。堂々と叫んだのはツナだろう?
 おれは奈々さんの手伝いでよく料理や食器洗いなどはするが、洗濯に関しては全く触れないから服の事情は知らない。

「そういえばさ」
「ん?」
「千星くんって誰かの家に泊まった時は洗濯物どうしてるの?」
「ああ、持ち帰ってコインランドリーで洗ってる」
「へぇ……」
「色々事情もあるしなー」
「事情?」
「うん。基本的に一泊二日が多いから。おれが帰った後に残された洗濯物はどうなる?」
「あ、なるほど」
「だろ?」

 ぽんと手を叩いて納得するツナに、おれは短い返事を返す。それに泊まらせてもらっておいて、流石に洗濯物まで世話になるわけにはいかないと付け足した。
 しかし一番の理由は『おんなのこの事情』ってやつだったりする。洗濯物で唯一世話になっている沢田家にいる時でもサラシだけはコインランドリー行きだった。例のあの日以外は下着は男物着用だから気にしてない。ちなみにボクサー派だったりする。

「………ん? そういえばリボーンは?」
「知らないよあんなヤツ!」

 おれの言葉にツナは機嫌を損ねたようで、どかりとベッドに横になる。昼間の件で相当ご立腹のようだ。それもそうだろう、誰だって他人の前でパンツになろうとは思うまい。露出狂以外は。
 おれはベッドに腰掛け、ふてくされてるツナの頭を撫でた。髪の毛一本一本を丁寧になぞったりくるくると巻いて遊ぶ。

「千星くん?」
「頑張ったな。えらいえらい」

 ねぎらいの意味を込めて微笑む。少し照れたようにそっぽを向く仕草が可笑しかった。
 その子どもっぽい様子に、この子はまだ十四歳だということを改めて感じる。それなのにマフィアだの何だのに巻き込まれながらも、本当によく頑張ってると思う。

「ツナも大変だなぁ」
「そう言ってくれるのは千星くんだけだよ」

 横になり髪の毛を弄ばれながら、ツナはほっとしたように息を吐いた。



20090111

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