アクマイザー

薮蛇


「なあなあ、白いほうの兄さんは、今どうなっているのだ?」
弟の何気ない発言と同時に、黒サガは目の前のテーブルを叩き壊した。
どす黒いオーラを発しながら紅い目でカノンを睨みつつ、それでも返答は返す。
「…冥界にいる」
精神だけ黒サガと己を切り分けて冥界へ飛んでいる白サガは、タナトスに会いに行っているのだった。
部屋の空気の重さが一気に10倍になる中、カノンはめげずに話を続けた。
「や、やっぱ記憶とか繋がってるのか?感覚の共有とかどうなって…」

ゴゴゴゴゴゴゴゴ

なんだか黒サガから魑魅魍魎が溢れ出しそうな勢いになってきて、流石のカノンも地雷を踏んだことに気がついた。
「あっ、オレ急用を思い出した!」
慌てて立ち上り、ミロの宮にでも避難するべく逃げかける。しかしその手を黒サガが掴んだ。
「愚弟…アレが現在どのような状況なのか貴様も知りたいか…」
「け、結構だ!」
何だかわからないが、恐怖のあまり涙目になるカノン。

黒サガの手を振り切って逃げ出したものの、拒絶した機会が惜しいものであったのか、逃げて正解であったのか、後から振り返ってもカノンには判別しかねた。


(2006/12/13)


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