アクマイザー

野獣降臨


◆サガが猫を拾ってきた

今日もカノンが自宅でごろごろとTVゲームなどをしていると、兄の帰ってくる気配がした。
習慣的におかえりと言いかけたものの、何故かちっとも家の中へ入ってくる様子が無い。
「サガ?」
どうしたのかと思って入り口まで迎えに行くと、扉の隙間からサガがこそりと顔を覗かせた。
しかし、そのまま何か後ろめたそうな顔でもじもじしている。
「何やってんだ。早く入ってこいよ」
そう言ってやると、サガはカノンの顔色を伺うかのように上目遣いでぼそりと呟いた。
「その…猫を拾ったのだが、家に入れても良いかな」
「はあ?」
「仕事先に近いサバンナで、獅子に食われそうになっているのを見かけて…つい持ってきてしまったのだ」
「はああ!?」
万物に博愛なサガだが、こうみえて普段は自然界の弱肉強食に手を入れるようなことはしない。
自然には自然の掟があり、可哀想だからなどという理由で肉食獣の餌を奪うような真似があってはならないからだ。
よほどその猫とやらが気に入ったのだろう。
「まあ、持ってきてしまったモンは仕方ない…もう夜だし、猫連れて家に入れよ」
ぱあっと嬉しそうな顔になったサガは、振り向いて猫に呼びかけた。
「良かった、カノンの許しが出たぞ!」
サガの後ろからのそりと現れたのは、大きな獣だった。それこそライオンほどの。
考えてみればサバンナに猫などいるわけがない。カノンは慌ててサガに突っ込んだ。
「ちょ、これ猫じゃねえだろ!」
「少し大きいだけだ」
「返して来い!」
玄関先で言い争っている双子の脇をすり抜けて、その猫(?)はちゃっかり部屋の中へ入っていく。

その獣が実は半人獣のアイオロスと呼ばれる生き物だとは双子もまだ気づいていないのだった。

2008/2/26


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