アクマイザー

アンチウイルス


◆セキュリティホール(※文中の表現はイメージです)


カノンは私の弱いところを熟知していた。セキュリティーホールを的確に探り出し、その箇所を見つけると、愛おしむかのように指を這わせてくる。びくりと反射的に身体が震えた。
「シュラ、排除しろ!」
護衛の筈のウイルスバ●ターに助けを求めるも、シュラは戸惑ったような顔をしているだけだ。
「彼は貴方の弟ではないですか」
仕方が無い、シュラは有能だが危険を独自に判定する能力は無い。
カノンは笑った。
「お前のナイトの前で、汚染してやるよ」
1枚、また1枚と私からセキュリティのベールを引き剥がし、隠された内部をさらけ出していく。最初にカノンが書き換えようとしているのはsystemに違いない。今やむき出しになったセキュリティーホールから、彼がゆっくりと侵入を試みてくる。
「や…めてくれ」
懇願するしかなくなった私を前にして、カノンは目を細めた。それはネズミを嬲る猫のように、悪意無く、それでいて残酷な表情だった。
「サガ、もうお前はオレのものなんだよ。そうだな…シュラは残しておいてやろう。ただし、二度と更新させはしないがな」
レジストリまで書き換えられたら、私はカノンの傀儡でしかない。
命令されるままにFTPのパスワードを手渡しながら、判断力の失われたCPUの片隅で、最奥まで侵入してくるカノンの一部が身体のなかで暴れるのを、ただ喘ぐように感じることしか私には出来なかった。


2009/5/20

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