アクマイザー

JUNK2008


◆暗転

「お前の知らぬサガの顔を、見せてやろう」
口角をゆるりと歪めてタナトスが哂った。
カノンは黙ったまま唇を噛みしめる。ふざけるなと一喝して席を蹴ればいいだけなのに、それが出来ない。
「双子座の片割れよ、お前の魂と身体を依代として俺に貸せ」
そうすれば、サガは決して我らを拒めまいとタナトスは言う。
「この俺に…神に対してすら抗うあの男の精神を、崩してみたい。お前も本当はそう思うだろう?」

カノンは海皇・アテナというオリンポス十二神のうちニ神の守護を受けている上、双子座ポルックスの不死の宿星を持つという類まれなる人間だった。それゆえ本来は死の神が付け入る隙はない。
しかし、タナトスはカノンの唯一とも言える弱点を理解していた。

「お前にはサガを変える力がある。そして俺には自殺者の魂を縛る力がある」
タナトスはカノンに対して手を差し伸べた。
「お前の身体と心を使い、望むとおりにサガを手に入れてやる。悪い契約ではないと思うが」

カノンはじっとその手を見つめた。
答えはもう決まっているような気がした。


2008/11/09

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