アクマイザー

JUNK2008


◆双子コミニュケーション

13年前に決別して以降、双子の兄とまともに会話をするようになったのは聖戦後のことだ。ずっと海界で海将軍なんぞやっていたオレは地上に住処などなく(海闘士が陸で活動するための拠点はある)、再び聖域でサガと共同生活する羽目になっている。

再会後のサガは、どうもコミニュケーション過多なところがある気がしてならない。接触面積が大きいというか、兄弟ってこんなにベタベタするもんだったっけ?
というか、サガはむしろ他人との触れ合いとか、何気に避けるタイプだった記憶があるんだが。
今もサガが隣に座って本を読んでいる。狭いソファーだというのにわざわざオレの隣に座る意味はあるんだろうか。
「あまりくっつくな、暑苦しい」
思わずそう言ったら、サガはきょとんとして、それから意外なことに素直に『すまない』と言って離れた。
「13年間、誰とも触れ合う機会が無かったので、どうも距離の加減を忘れているようだ」
「……」
そんなの、オレもだっての。
オレは海底神殿での暮らしを思い出して苦笑した。
「…もう少し涼しくなったらくっついていいぞ。ここには碌な暖房もないしな」
「そうか」
サガが笑う。秋の訪れは近い。


2008/10/3

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