アクマイザー

JUNK2008


◆美醜

「もう少し早くサガとアフロディーテに出会えていたらなあ」

星矢が茶請けの菓子を摘みながらそんなことを言い出したので、名前を出された二人は顔を見合わせた。
場所は双魚宮。黄金聖闘士二人の優雅なティータイム中に、通りすがった星矢がちゃっかり参加しているという形だ。
「サガについて君がそう思うのは判るが、私もか?」
魚座の主が尋ねると、星矢は真面目な顔をして頷く。
「ああ、だってアフロディーテも綺麗じゃん?」
なんだそれは、という顔になったアフロディーテに構わず星矢は勝手に話し続ける。
「白銀聖闘士にミスティってのがいてさ。俺、そいつと戦ったことがあるんだけど『女神以外に自分の美に勝る存在はあるまい』とか言ってたんだぜ!確かに顔は良かったけど…」
もぐもぐと口の中にあった菓子を飲み込んでから続ける。
「あのときにサガとアフロディーテを知っていたら、お前よりもっと美人がいるって言い返してやったのに!」
隣でサガの目が遠くなった。口にものを入れながら話すのは止めなさいと注意するのも忘れているようだ。
星矢の頭にぷすりと薔薇が刺さる。
「痛ってえ!何するんだよ!」
「前から思っていたが、どうも君は敵をまず顔で判断しているだろう」
頭を庇うように両手で押さえた星矢へ、アフロディーテは知らんふりでティーカップを傾けている。
「だって俺、綺麗な顔の奴は心も綺麗だと思うもん」
星矢の方も、この程度の攻撃で口をつぐむほどやわではない。
「何となくだけど、心のあり方って絶対に顔に出る。卑しい奴はいくら顔の形が整ってたって、やっぱり卑しい顔なんだ」
アフロディーテがチラリと星矢を見て、肩を竦めた。口には何も出さないが『そこは同意してやる』という意思表示だった。
「だから俺、サガとアフロディーテは綺麗だと思うよ」
しかし星矢が続けた言葉によって、直ぐに呆れ半分の表情が加味される。
「臆面もなくそう言う事を本人の前でいうから、君はタラシの卵などと言われるのだ…サガもそこでよろめかないように」
「わ、私はよろめいてなど…」
会話を横で聞いていたサガが、いきなり声をかけられて言葉を詰まらせた。
星矢は輝かんばかりの笑顔でサガを見る。
「俺、サガは身体も綺麗だと思う。アフロディーテの全裸は見たことないから判らないけど」

十二宮での戦い(での自分の全裸行動)を思い出してサガは深く落ち込み、星矢の頭にはもう1本薔薇が増えた。

2008/8/23

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