アクマイザー

JUNK2008


◆伝達力

「サガ」
朝食後、外出の身支度を整えたカノンが兄を呼ぶ。
サガは頷いて、ただ「判った」と答えた。
そのまま出かけていったカノンを、横にいたアイオロスはサガと一緒に見送っていた。彼はたまたまサガと朝の訓練生指導が重なったため、その後サガから双児宮での朝食に誘われていたのだ。
「意外とあんまり会話しないんだね」
アイオロスがそんな感想を零すと、サガが不思議そうに振り向いた。
「カノンは割合とよく話すほうだぞ?」
「そうか?今だって」
「今日は海底神殿での仕事が遅くなるから、夕飯はいらないと言っていたろう。あと今日は良く晴れそうなのでシーツを洗っておいてくれと。その代わり土産に何か海界のものを持って帰るみたいだ。それにアイオロス…お前に…その、よろしくと挨拶していた」
「ええ!?今そんなに会話してないだろう!」
「言葉は短いが、そう言っていたのだ」
実際には『アイオロスが朝食を食い終わったらさっさと追い返せよ』…というニュアンスのこともカノンはサガに訴えていたのだけれども、流石に本人にはそれを誤魔化したサガである。
「以心伝心というやつか…」
幸いアイオロスはそのような誤魔化しに気づくことなく、ひたすら双子の相互伝達能力に感心し(半分呆れ)ていたのだった。


2008/7/25

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