アクマイザー

JUNK2008


◆ぐだぐだ対決

「むう…やはり動かざるべき北極星がわずかに傾いている。聖戦の予兆か」
スターヒルの頂で、シオンは星を見上げていた。
教皇たる彼の役目の一つに星見がある。星の動きによって災厄の兆しを読み、それに対して万全の策をとるのは、神の代理人としての義務だ。
聖なるスターヒルの祭壇は、教皇以外立ち入ることの許されぬ禁区である。
しかし、その場所へ突如現われた人影があった。
「サガ!?」
シオンは驚いた。この地は黄金聖闘士といえども立ち入りは困難な、切り立った断崖絶壁の頂点にあるのだ。
「どのようにして…」
思わず洩れた言葉に、サガは笑う。
「別に私には困難なことでは…老いたあなたでさえ登ってこれる場所ですからね…」
じっとシオンはサガを見た。笑いながらもサガは苦しそうだ。隠せぬ荒い呼吸をハァハァと繰り返している。
「そのような事を申して、息切れをしておるではないか」
「…いや…これは息切れではなく…心の葛藤で…」
「虚勢を張らずとも良いぞ?」
基本的にシオンは人の話を聞かないところがある。
「…違うと言っておろうが!耄碌ジジイ!」
怒鳴り返したサガの髪は、黒く染まっていた。
「大体、教皇以外は立ち入り困難なはずのこの地に、どうして聖堂が建っているのだ!どうやって建てたか不思議には思わんのか!」
シオンが思わず背後を振り返ると、そこには祭壇のある立派な聖堂がそびえたっている。
「過去の建築職人は黄金聖闘士より優れていたのであろう」
「そんなわけがあるか!」
「それより、どうやってお主が髪色を変えたかの方が不思議なのだが」
「見たな、私の秘密を…」
黒髪のサガが獰猛に唸る。しかしシオンもそれを恐れるようなタマではない。
「いや、お主が勝手に見せたのではないか!」
「こうなった以上、お前を生かしておくことは出来ん!」
「フ…そのような短気な性格では、ますます次期教皇に向かぬな」
「この妖怪じじい、言わせておけば」
「外見の変化するお主に妖怪呼ばわりされたくないわ!」
黒サガとシオンはとても似たもの同士だった。

朝まで全力の口喧嘩をしたために力を使い果たした黒サガは、日の出とともに白サガに主導権を取り戻される羽目になり、起こるべきサガの乱は回避されることとなった。


2008/7/22

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