アクマイザー

JUNK2008


◆決戦前

「という訳で、我らは冥闘士のフリをして聖域へ乗り込むゆえ心せよ」
18歳の姿で一同をまとめるシオンは、無駄に元気だ。
遠慮がちにカミュが手を上げる。
「しかし、聖域には残りの黄金聖闘士が揃っております。我らの行く手を阻むかと…」
「フ…カミュよ。我らは何人いる?」
「シオン様、サガ、シュラ、デスマスク、アフロディーテ、私の6人です」
「聖域側の黄金聖闘士は?」
「ムウ、アルデバラン、シャカ、アイオリア、老師、ミロの6人です」
「じじいの童虎は我らに相対するほどの力はあるまい。手こずるかもしれんが、戦力から外しても構わんだろう。我が弟子のムウは儂が対処するとして残り4名。一人に対して一人が千日戦争で足止めをすれば、残りの者が女神のところへ辿りつくのは楽勝じゃな」
サガが眉間に縦じわを作る。
「シオン様、どんぶり勘定で勝算を誤魔化すのは止めていただきたい」
「…なんじゃ、女神の元までゆける可能性はゼロに等しいなどと、本当の事を言ってやる気を削いでも始まらんだろう」
「聖域は難攻不落の地、それは我らが一番良く判っております。今更そのようなことで士気の落ちる者はおりません」
「相変わらず真面目だの、お前は」
サガに軽く睨まれるも、素知らぬ顔で流してシオンは静かに笑った。
「計算などしても仕方がない。我らは何があっても女神の元まで辿りつく、それだけだ」
シオンの言葉に感動している素直なカミュとシュラを横目に、デスマスクが突っ込む。
「そのお嬢さんの元へ行くために策が必要なんでしょうが。じーさんの事だから何か考えてあるんだよな?」
「シオン様と呼ばんか」
一言の下に殴られ、デスマスクの頭にはタンコブが増えている。
アフロディーテが呆れた顔をしつつも、その頭へヒーリングをしてやった。
シオンは何事もなかったかのようにその光景も無視して宣ずる。
「策ならば考えておるぞ。…サガがな」
一同は真剣な顔となりかけるも、付け足された語尾に遠い目となる。指名されたサガは最も遠い目をしていたが、直ぐに真剣な面差しとなって黙り込んだ。
「どうじゃサガ、お主の思うところを述べてみよ」
シオンに促され、サガは重い口を開く。
「……計算なしの強行突破となろうかと」
「そうであろう?」
恐らくは冥界軍の監視もつき、対黄金聖闘士戦では何が起こるか判らない。互いの隠し奥義など、当たってみなければ知る由もないのだ。不確定要素の多いなか、綿密な計画を立ててしまうと逆にそれに縛られかねない。
デスマスクの傷を治したアフロディーテが、淡々とした口調で述べた。
「では、女神の下へと辿りつく事を第一の目的とし、脱落したものは冥界に戻り一人でも冥闘士を倒して露払いとする。それでいいのですね」
一同は頷く。
そして魂は光となり、聖域の墓場に眠る己の肉体を目指して飛び立っていったのだった。


2008/7/8

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