アクマイザー

JUNK2008


◆具現化

冥界の最奥ハーデス城の控え室で、ラダマンティスとミーノスは会議前の時間を世間話によって潰していた。
聖戦が終わって以降、冥界はわりと平和であった。
「ヒュプノス様は想い描いた想像の世界を現実化できるそうだな」
「凄いですね。ただ、具現化出来るのはあくまで現象だけで、相手の精神内などまでは変えられないみたいですよ」
「ああ。前教皇シオンの師匠とやらは、ヒュプノス様が具現化した隕石も聖衣なしで受け止めたそうだし、意外と無敵な技でもないのだろうか」
そこへ割って入ったのはアイアコスである。
「何を言っている、あんな無敵な技はない。やり方次第だ。ヒュプノス様はまだ想像力が足りん!」
勢いよく断言する彼を、残りの二人は胡散臭そうな顔で見やった。
アイアコスは続ける。
「例えば、日本最大の夏の同人誌即売会での男性向けサークル最大大手の行列空間をぶつけるとかだな」
「何を言っているのか相変わらず良く判らんぞ」
「全くですよ」
「喩えるとブランドバーゲンに突撃する女性の群れの熱源200%増しのようなハイパー空間だ」
「そ、そうなのか?」
「どっちにしろ私には全く理解出来ません」
「凄まじい破壊力なのだぞ!隕石などメではない」
「…よくわからないがヒュプノス様は採用しないと思う」
「貴方に賛同などしたくはありませんが同意ですよ」
「ヒュプノス様の力があれば触手空間も猫耳空間もメイド空間も思いのままなのに!」
「いや、先ほどミーノスが言っていたではないか。具現化可能なのは現象のみらしいと」
「ええ、人や生物は具現化対象にはならないのでは。断言は出来ませんが」
「何!では非現実を司るパンタソス様のほうがお役立ちではないか!」
「…………とりあえず今の暴言はヒュプノス様に内緒にしておいてやる」
「アイアコス、貴方のお役立ち基準がちっとも判りませんよ。その何とか空間とやらも」

ラダマンティスとミーノスは、アイアコスを遠くに感じながら、さらりとその罰当たりな話題を流した。


2008/7/5

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