アクマイザー

JUNK2008


◆神の源

「神の力に距離って関係あるのかな」
突然星矢が言い出したので、話し相手となっていたサガは首をかしげた。
「物理的にということならば、多少はあるのではないか?」
神の意思、すなわちビックウィルと呼ばれる存在の形でいえば、宇宙の真理に関わるものでもあり、どこであろうとその意思は発動するように思われる。
しかし、一旦それが人間に宿り、物質界で影響を及ぼす分には、神の力といえどもその宇宙の法則に従うように思う。
何故星矢がそのようなことを言い出したのか判らなくて、サガは話の続きを促すように視線を投げかけた。
「いや、ほらアポロンとか、すげー強いし、偉そうだろ?」
「そうだな」
「でもアポロンて太陽神なわけだよな」
「ああ」
「宇宙の広さを考えたら、太陽系の小さな恒星の神様より、もっと大きな恒星の神様がいっぱい居る気がしてさ。オレの星座を構成している星だって、太陽よりもずっとでかいんだけど。そんな星の集まったペガサスの星座の守護神パワーの方がアポロンよりランクとか上っぽいのに!」
星の大きさを神の力に直結させた星矢の理論(というよりも願望)に、サガは目を丸くして、それから噴出した。笑いながらも、星矢を傷つけぬ程度にフォローする。
「そうであったら、面白いな」
ひとしきり笑ったあと、今は星の見えぬ青空を見上げてサガは目を細めた。
「神の力とは、何に因るのだろうな。神は人間の誕生するはるか以前から存在するというが、神々の格や力は、人間の想いによって、高まりもすれば貶められもするような気がする…それゆえ、人の住まう地球を照らし育む太陽神は強大なのではなかろうか」
星矢も並んで空を見上げる。青く澄み渡った空に輝く太陽の光が、今も二人へそそいでいる。
「それなら、地上を愛して、人に愛される沙織さ…アテナが最強になるの、判る気がする」
とびきりの笑顔でそう言った星矢へ、サガもまた極上の微笑みを返した。


2008/4/8

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