アクマイザー

JUNK2008


◆÷2なのか×2なのか

サガは他人に寄りかかる事をしない男だ。

それは遠慮から発する性質なのかもしれないし、己の力のみで大抵の事をこなせてしまう有能さからくる無作為かもしれない。誇りからくる矜持とも考えられる。
なんにせよ、時間をかけて彼の内面に踏み込ませてもらえるようになって、ようやく何事かを頼まれるようになる。

しかし無防備に背中を預けてくれることはない。

それを寂しく思いながらも、シュラはそういうサガが好きだった。
その孤高の強さは善いもののように思えた。

女神の聖闘士は、基本的に個の強さを求められる。複数で一人を攻撃することが許されぬからだ。
集団で任務を行なうこともある青銅や白銀も、戦闘に突入すれば基本的に個対個だ。
黄金の位ともなると、単体で至高の強さを持たねばならない。
誰にも寄りかからず、そのかわり弱い者全てを護る。

サガは理想的な黄金聖闘士だった。


それなのに。
シュラは目の前でカノンの膝枕に眠る黒サガを見て溜息をついた。
カノンが『何か文句でもあるか』と言う顔で、シュラに視線を向けてくる。

「どうやって手なづけたんですか」
「人の兄を野獣のように言うな。サガは昔からオレのものだ。それに、それはこっちの台詞なのだが。お前が居るのにサガが起きない。サガは他人の前で眠らなかったのに」

カノンはカノンで不満があるようだ。

「13年間一緒でしたので」

今度はカノンが溜息をつく。
『それでも胸が痛まないのは何故だろう』と二人は思う。
サガの居場所が増えたことを知った二人は、この溜息にはどんな意味があるのだろうと考えた。


2008/1/19

[NEXT] / [JUNK]


[BACK]
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -