アクマイザー

JUNK2006-2007


◆紛らわしい

「カノンがすごく好きなんだ」
唐突にそんなことを言い出したサガに、アイオロスは『やはり』と思いながら僅かな寂しさを覚えた。
それでも、多少の虚勢とサガの幸福を願う心から笑顔で返す。
「ああ、知っている」
しかし、全力で笑顔を作ったというのに、サガの返事はアイオロスの予想とは全く違うものだった。
「私もあの店のパンの食感が好きでね…だが、なぜ君がカノンの好物を知っているのだ?」
きょとんと返すサガの顔を見て、自分の勘違いを悟りつつも脱力する。
「食べ物の話なのか!?まぎらわしい!」
「何を言っているのだロス」
アイオロスの安堵を他所に、サガの目つきが微妙に冷たくなった。
「カノンに詳しいのだな…」
最愛の弟に手を出すなというけん制なのか、はたまた妬かれたのか、多少は後者であって欲しいと遠い目になるアイオロスだった。


2007/12/27

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