アクマイザー

JUNK2006-2007


◆海よりの使者

「おいサガ、どういうつもりだ!突然教皇宮へ呼び出して職務を手伝えなどと!」

怒鳴るカノンのことなど気にも留めぬ顔で、執務席ではサガがペンを走らせている。
目線は卓上の書類に向けたまま、彼はやんわりと答えた。
「先ほど、お前に用のある海界の使者がきたと白羊宮から連絡が来てな」
カノンはバン!と机を叩いた。
「知っている!アイザックだろう?用があるのならば直ぐにここへ通せ」
「『残念ながら、双子座のカノンは多忙ゆえ、1時間ほどお待ち願いたい』…使者どのにはそうお伝えした」
「どういうつもりだサガ、海界のことで邪魔立てをするのならば、お前とて許さん」
珍しく兄に対して毛を逆立てる弟の小宇宙に、ようやくサガは顔を上げた。
「今日はアフロディーテが出かけていて宮におらぬ」
「それが今の話と何の関係がある!」
「ムウがクラーケン殿に用件を伺ったところ、決裁書類に海将軍筆頭のサインがいるというだけで、期限は今日中であれば構わないらしい」
「だから何だ」
「教皇宮に一番近い双魚宮の主がおらぬゆえ、彼にはその下の宝瓶宮でお待ち頂くことになっている」
「…カミュのところか」
サガは執務席に座したまま、真っ直ぐにカノンを見上げた。
「そうだ。それで、何か不満があるか?」
「………ちっ」
カノンは口にしようとしていた文句を押しとどめ、どっかりと隣の席に腰を下ろした。

「回りくどいんだよお前は!で、手伝って欲しい仕事というのは何だ!」
サガはにっこり笑って分厚い書類の束を差し出した。


2007/8/12

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