アクマイザー

JUNK2006-2007


◆邪魔せずとも馬に蹴られる

蘇生後。
「サガ、今度こそ君を守ってみせる」
アイオロスは相変わらず真っ直ぐで堅物だ。
「気持ちは嬉しいが、むしろ教皇となる君が守られる立場ではないのか?」
サガはサガで真面目かつ色気がないっつーか。

こいつらはある意味似たもの同士だ。色恋沙汰からは何光年も遠い場所にいやがるのに、アテられている気分になって砂糖を吐きたくなるのは俺のせいじゃないと思うわけよ。

「守るという字はケモノヘンを付けると狩るという字になるな」

徒然なるままに心に移りゆくよしなし事を、そこはかとなく口に出してみると、二人から困ったような呆れたような目を向けられた。

「けもの偏は犬という字を崩したものだな…それは私が女神の犬としてサガを狩るんじゃないかという揶揄か?」
「私の中の獣がアイオロスを狩ることへの牽制だろうか、デスマスク」

こんな二人でもやっぱり13年前のアレがトラウマなのかもしれない。
連想内容が微妙に暗いぞ。

「さすが黄金年長組は東洋のコトバにも詳しいね。だが別に他意はねーよ。それに、守りあうより狩りあう方が楽しそうじゃん」
「なんだか黒い方のサガみたいな台詞だね」
「えっ?アイオロスの中でもう1人の私はそんなイメージなのか?」
「しなやかで美しい野生の獣っぽい感じ?」
「私は逆に、アイオロスの方が気高い獣の印象がある」

…。
やっぱりアテられている気がするのは俺の思い込みじゃねえと思う。
ま、これも平和な証拠だと俺は生あくびを噛み殺す。

2007/7/31

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