アクマイザー

JUNK2006-2007


◆距離…(サガSIDE)

蘇生されてから少ししてアイオロスと二人だけで会った。
私に殺された時の年齢のままで蘇った彼は、あの頃と変わらず輝いて見えた。
気高く強く、聖闘士の誉れであった射手座の主。

アイオロスは優しいから、汚名を着せた相手であっても態度を変えることは無い。
私の過去の謀りごとが、彼の心に他人への憎悪という穢れを作ってしまうのではないかと心配していたが、そんな事は杞憂だった。
彼は全く彼のままで、私はすまなく思うと同時に、その事がとても誇らしかった。

そういえば、昔はアイオロスのことを年のわりに大人びた男だと思っていたのだが、こうして見るとだいぶ少年らしさが残って見える。それもそのはずで、彼は星矢とたった1つしか変わらない。子供と言ってよい年齢なのだ。
そんな子供を、同じように子供だった私が破滅へと追いやった。

「アイオロス、今度こそお前が正しく聖域を導いてくれ」

シオン様は人を見る目があった。彼こそが教皇にふさわしい人間だと今では思う。

彼は次期教皇で、栄光の未来ある少年で、もう私と比較しようとする者は誰もいないだろう。
今の私と彼ではライバルにはなりえないし、同じステージに立つ資格も無い。
これからは彼と肩を並べて競い争うことはないのだ。

ようやく楽になれた気がしてアイオロスに笑いかけると、彼は何故か視線をそらして空を見上げた。白い雲がひとつだけ風に流れていく。
彼はその見上げた天の高みへ昇っていくのだろうなと、私はぼんやり考えた。


2007/5/14

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