アクマイザー

JUNK2006-2007


◆弟

「生き返ったら、小さかったあのアイオリアが随分立派になっていて驚いたよ」

人馬宮でサガと酒を酌み交わしつつ、射手座のアイオロスは楽しそうに話し始めた。
「ああ、彼は私のせいで随分と苦労をして育ったが…真っ直ぐないい青年になった」
サガもすまなそうな顔を見せながら、それに相槌をうつ。
そんなサガの憂いを吹き飛ばすかのように、人馬宮の主は笑った。
「リアのやつ、昔は負けん気が強すぎるところもあったからな。少し苦労して自分を押さえ気味にするくらいで丁度いいのさ」
「いや、アイオリアの負った苦労は少しなどというものではないぞ」
苦労の原因であるサガは流石にフォローを入れる。
それでもアイオロスは悠然と流した。
「気にしすぎるな。あいつは苦労が大きければ大きいほど、それを糧にして大きくなる奴だ。何せ、この俺の自慢の弟だからな」
片目をつむって茶目っ気たっぷりに言うアイオロスに、サガもようやく微笑んだ。
そして負けずに言い返す。

「私の弟も、なかなか立派になっていた。随分遠回りをしたが、ずっとお前に私の自慢の弟を紹介したかったのだ…私に似て罪科持ちだが…カノンも結構いい男だと思うのだ」
最後が遠慮がちになるところがサガらしい。

アイオロスは気がついた。ジェミニが双子であることを隠していた過去において、サガは弟の話をしたくてもする事が出来なかったということを。

あのころの自分がアイオリアの話をするときに、微笑みながらも黙って聞いていたサガを思い出して、アイオロスはサガの杯に酒を注いだ。
「君の弟さん…カノンと言ったっけ?彼の話をもっと聞きたいな」

サガは嬉しそうに顔を輝かせると、幼い頃のカノンの話を尽きることなく話し始めた。


2007/4/21

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