アクマイザー

JUNK2006-2007


◆駄目関係

サガに会いに来たアイオロスが双児宮を覗き込むと、中では黒サガとカノンによる兄弟喧嘩の真っ最中だった。どうやら、弟に対しても遠慮なく格下扱いする黒サガに、カノンが実力行使で反発しているらしい。
「サガ、確かにお前の力は人外レベルだが、聖衣を着用せぬ同士なら、むざとお前に負けるつもりはない!」
「ふん…相変わらず口先ばかりは達者なことだ、この愚弟が」
増大していく二人の小宇宙をみて、慌ててアイオロスは双子の合間に割って入った。こんなところで双子が暴れたら、修復したばかりの双児宮があっというまに吹き飛んでしまう。
「喧嘩するほど仲がいいのは良いことだけど、場所とか方法を選んで欲しいなあ」
仲裁の言葉をかけるアイオロスに返って来たのは双子の冷たい視線だったが、いちおう現教皇の命令は聞く耳を持つようだ。二人の小宇宙の増大が一時的に停止する。

先に反応を示したのは黒サガだった。
「方法を選べば良いのだな?」
「いや、出来れば喧嘩自体ちょっと…」
しかし、そのアイオロスのお願いは無視された。
「私と愚弟で同時に互いに技を放つ。幻朧魔皇拳ならば宮に被害は出まい。力の強い方の技が相手にかかる…それで文句はないな」
「え〜と、幻朧魔皇拳って確か、目の前で誰か死なないと元に戻らないんじゃ?」
「その時は、お前が死ねサジタリアス」
「あははは、相変わらず君は冗談がキツイなあ。私が死ぬと、もう一人の君が泣くよ?」
他の聖域の住人には絶対に聞かせられない黒サガと現教皇のやりとりだ。
横からこの二人よりは少し常識のあるカノンが口を挟んだ。
「幻朧魔皇拳でなくて幻朧拳でというのはどうだ。それならば死者は出ぬし、勝った方は技ついでに1日相手を支配出来る。それで文句ないだろ、サガ」
「構わぬ。どちらにせよ、私が負けるはずはないからな」
「言ったな、愚兄。なら、オレが勝ったら跪かせて足を舐めさせてやるから覚悟しろ」
「面白い。私が勝った暁には、腰が立たぬほど攻め立てて、その生意気な口をきけぬようにしてやる」

どちらに転んでも聖域の公序良俗が乱れそうなので、アイオロスは二人の頭をぽかりと殴り、兄弟喧嘩禁止令を言い渡したのだった。

2007/3/5

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