アクマイザー

JUNK2006-2007


◆フラグ

「このあいだ双児宮に泊めて貰ったんだ」

アイオリアのところへ遊びに来た星矢の話を、何気なく隣で一緒に聞いていた14歳のアイオロスは、星矢の発言を聞いて姿勢を変えました。
それまでは片肘を付いてお菓子などをつまんでいたのに、すっかり向き直って弟と星矢の二人の会話に真剣拝聴モードです。

「あそこって客用寝室とかないし、ソファーで横になるつもりでいたら、寝台が広いから一緒に寝ようってサガが言ってくれてさ…サガの髪って、近くで触れると凄いイイ匂いがするのでびっくりした!」

1つ年下の星矢が自分より先にサガとの同衾イベントをクリアしたことに、アイオロスは内心のショックを隠せません。そんな兄に気づくことなく、アイオリアは穏やかに元気な後輩と会話をしています。
「そうだな、確かにサガの髪はいい香りがした。オレが子供の頃も良く面倒を見てもらったものだ」
「それ、なんか判る。サガって面倒見良さそうだよね。黒いほうはともかく」
「黒サガの時も、髪の香りは変わらなかったがな」
動揺しつつも聞き耳を立てていたアイオロスは、弟の発言に慌てて突っ込みました。
「ちょっと待った!アイオリア、何故お前が黒サガの事まで知っているのだ」
突然会話に割り込んできた兄の追求に、アイオリアは『しまった』といったような顔をしましたが、星矢がいることを考慮したのか、無難に答えます。
「偽教皇であることを追及しに行った時、幻朧魔皇拳受けて近くに寄ったことがあって」

星矢だけでなく、弟までなにやら特殊イベントをクリアしている様子です。
悔しくなったアイオロスは、さっそく自分もフラグを立てるべく、二人を獅子宮へ残して双児宮に向かいました。

「サガ、今晩泊めてくれないか」
双児宮から出てきたサガは、突然こんな事を言うアイオロスに目をぱちくりとさせました。
後ろにいるカノンは、悪い目つきを一層鋭くさせています。
「どうしたのだ突然。私のところへ泊まらずとも人馬宮はすぐそこだろう」
「君と一緒に寝たいんだ」
直球といえば直球すぎる告白に、カノンがギャラクシアンエ(略)の体勢に入りかけていますが、肝心のサガも、言った本人のアイオロスも、その言葉を深い意味は無く捉えているのが判るだけに、薮蛇を起こさぬよう技を繰り出すのを我慢している状態でした。
「それは構わないが…お前を泊める場所が無い」
「星矢のことは泊めたと聞いたぞ」
「星矢はまだ子供…」
言いかけて、サガは黙ります。アイオロスはこんな見かけ(身長187cm体重85kg)ですが、自分が殺したせいで13年前と変わらず14歳のままなのです。星矢とそう変わりません。
「判った。私がソファーに眠れば良いことだしな」
「オレと一緒に寝るのは嫌か?」
しょんぼりして一人称がオレに戻っている事にも気づかないアイオロスでした。
サガはとりあえずアイオロスの手を引いて宮の中へと招き入れました。
「嫌なわけはない…ただ、その…お前と一緒に寝ると言うのは、何だか妙な心持がして」
「妙?」
「私がお前を子供とは思えない…落ち着いて眠れないような気がするのだ」
頬に朱を走らせつつも、困ったようにふわりと笑うサガはやはり綺麗でした。
「サガ…」


目の前でこんな中学生日記を見せ付けられたカノンが、とうとう我慢できずに必殺技を放ったので双児宮は半壊し、結局三人で雑魚寝になったわけですが、アイオロスは冷静に
(イベントフラグを立てる時は、カノンの居ない時でないと駄目だったのだな)
と攻略チェックを心に刻みました。


2007/2/10

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