アクマイザー

JUNK2006-2007


◆触手

「ラダに無理言って触手を借りてきてやったぞ、オレに感謝しろよ」
「ヒャヒャヒャ、オレは触手ではなくて地伏星の…」
ライミが自己紹介する間もなく、カノンは彼を殴って気絶させた。
手早く触手部分を掴むと、動かなくなったライミごと引きずって一同へソレを見せる。
「こら、客人に手荒な真似は…」
倒れているライミを心配しているのはサガだけで、残りのメンツは間近で見る敵の冥衣に興味津々だ。

「聖衣と比べて硬度はどうなんだ?」
「伸縮性がありますね。触手の一節分でも貰えれば、詳細に調べられるのですが」
冥衣の機能や材質に反応を示しているのがデスマスクとムウ。特に修復師のムウは分解したくてウズウズしているようだ。パソコンを見るとまずハードやスペックに興味をしめすのがこの二人だ。

「これをどうやって動かしているのかな」
「小宇宙でしょう。星雲鎖のような自動防御は無いようですから」
稼動面への興味を示すのはアイオロスとアフロディーテ。こちらはソフトウェア派と思われる。
二人とも瞬時にこの冥衣の形状を把握し、その攻撃の軌跡をシミュレーションしている様子だ。

「そんな事を知る為に冥闘士を呼んだのかね。大人の触手の使い道を探るためではないのかね」
シャカは細かいことを考える前に圧倒的な小宇宙で敵を倒すので、冥衣の瑣末など気にしない。電波でありながら物事の真実を掴む力に長けているシャカの一言で、黄金聖闘士(の一部)は我に返った。

「そうですね、折角触手を借りたのですしね」
「何か大人的目的に使わないと勿体ねえな」
「え…そんな目的で借りたのか…?」
真顔で頷く羊と蟹を、アイオリアが呆れながら見ている。
サガはそもそもシャカの言葉の意味が良く判っていないので遠巻きに聞いている。シュラは関わりたくないのでさらに遠巻きだ。

「アイオリア、ちょっと使い方の見本を見せてください」
「何を当たり前のように言い出すのだムウ。オレに恨みでもあるのか」
「誤解ですよ。貴方が困ると面白いなと思っているだけです」
「オレはお前のそういうところが…って、こら!やめろ!」
獅子の抗議は無視され、丁度良い被験対象とばかりに近くの三人が押さえつける。
シャカによって腕の動きを封じられたアイオリアの身体は、デスマスクとムウによってぐるぐると触手を巻きつけられた。
「ハーデス戦の時、サガとシュラはアイオリアの戦いを見てらしたんですよね?こんな感じでしたか?」
一通り巻き終えるとムウは爽やかに二人に尋ねた。シュラは聞こえないフリをしたが、サガは当時を振り返りながら真面目に答えた。
「そうだな。大体そんな感じであったように思う。あの時もアイオリアを見て思ったのだが、そんな風に触手を身に巻いていると…」
「萌えますか?」
「…大リーグ養成ギブスのようだ」
「あははは、サガは上手いこと言うな!リアってそういうの似合うよな」
「アイオロス。筋肉男の貴方も同類ですよ」
「何だその健全な感想は!せっかく触手を借りてきてやったのに宝の持ち腐れじゃないか!」
「宝か…?」
ムウとサガとアイオロスの会話にカノンがぶつぶつ文句を言い、それを聞いたシュラがますます遠い目となっている。

結局、養成ギブスなアイオリアが記念写真を1枚撮られただけで、ライミは返却されていってしまったのだった。アイオリアは怒ったが、後でサガとアイオロスが散々慰めた上、食事を奢ったので結果オーライ。

2007/1/13

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