アクマイザー

JUNK2006-2007


◆勇者と英雄は異なります

〜魔王征伐パーティー〜
勇者セイヤ(真名アイオロス)
魔法使いシオン(さびしがりや)
僧侶サガ(頭脳めいせき)
遊び人カノン(あまえたがり)

「兄さんは何で星矢にばかり成長アイテムを使うんだ、贔屓だろう!」
「遊び人のお前に使うアイテムなどない。星矢は勇者なのだから力を付ける必要があるのだ」
もっともらしい理屈ですが、実際、サガはヒヨッ子勇者の星矢にメチャメチャ優しいのでした。星矢の方も遠慮することなくサガにベタベタと懐いています。本当は自分が甘えたいカノンはそれが気に入りません。戦闘はサボって寝ていたりするくせに、わざと自分で怪我をしたりしてサガの気を引こうとしています。
そもそも、本来のメンバーは戦士のシュラであったのですが、カノンは勝手に傭兵申し込み用紙を書き換えて自分がくっついてきてしまったのです。後々カノンは改心して賢者へとクラスチェンジするのですが、今の段階では単なる足手まといです。…本来は。

「あの小僧に力なんて付けなくたって、その気になればオレ達だけで世界制覇できるだろ」
ぶっちゃけ、いきなりラスボス討伐に向かっても良い高レベルメンバーでした。カノンが戦わなくても余裕です。
「サガとカノンがそうしたいなら、世界征服に切り替えてもいいなあ」
星矢も星矢でいい加減です。
最初の勇者適正テストで村人に話しかけようとして間違えてうっかり殺してしまい、ものはついでと村の住人全員を子供に至るまで殺戮してしまっただけのことはあります。でもあのテスト、攻撃体勢と会話体勢が一緒ってのが良くないよね。知らないと会話するつもりで殺しちゃうよね。
「星矢は頼もしいな」
サガは相変わらず星矢が何をしても良いほうへ受け取るのでした。もちろんカノンが直ぐに横から突っ込みをいれます。
「兄さん、そこはニコニコ褒めるところじゃないぞ」
「星矢は幸運値が9しかないのに頑張っているのだ。お前の無駄に85もある幸運値をわけてやれ。だいたい、お前が戦闘中に呼ぶ遊び仲間とやらは1度も来てくれたためしが無いではないか、役立たずめ!」
「いや、世界征服するならオレも本気で頑張るが」

話を聞いていたシオンは、三人まとめて卓袱台返ししておきました。
この三人がこの調子なので目付け役として付いてきているのです。大体この三人、盗賊の鍵などなくても、必殺技の一発でもぶっ放せば壁を壊せます。ルーラなんぞ使わなくても世界各地へ飛び放題です。ただでさえ他人の家のタンスを勝手に荒らすことで評判の悪い勇者一行なのに、このパーティーの評判の良いところは顔だけでした。

魔王よりもこの三人を旅の間に更生させねばとシオンは頭を抱えました。

2007/1/3

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