アクマイザー

JUNK2006-2007


◆初女性教皇補佐

ハーデスとの聖戦後、残されたのは僅かな白銀聖闘士と青銅聖闘士二軍達だった。
前回の聖戦では、激戦ながら黄金聖闘士が二名生き残ったというのに、今回は全員が命を落としている(もっとも、聖戦開始前にサガの乱により半数となっていたのだが)。
ハーデス本体をしとめ、ポセイドンは現在眠りについているものの、女神不在の地上を狙う何者かがまた現れないとも限らない。
早急に聖域の体制を立て直す必要があった。
そんな中で聖闘士の代表として白羽の矢が立てられたのは魔鈴だった。生存している白銀聖闘士の中では実力がトップクラスであり、その冷静な判断力と洞察力は、混乱期のまとめ役に向いていたのだ。
さすがに教皇としては実力が不足であり、また教皇は黄金聖闘士からの任命と定められていたことから、女性教皇となることは無かったが、それに次する地位…教皇補佐の代行として、彼女は聖域の復興のかなめとして働くこととなった。
過去に女性がこの地位に就いたことは無く、異例の大抜擢といえた。魔鈴は周囲の不安と期待に流されること無く、着実に、そして大胆に聖域を改革していった。


「いいかい、この掟は変更だよ。仮面の下を見られたら『愛するか殺すか』ではなくて、『愛するかブチのめすか』だからね!」

今日も魔鈴は古臭い因習を改変すべく神官に宣言した。景気よく聖域改革を進めていく魔鈴の手腕は、今では誰しも認めるところだが、これには一同首をかしげた。
「愛する…ってのは削除しないんで?」
ヒドラの市が恐る恐る尋ねてみる。魔鈴はフフンと鼻で笑った。
「古臭い因習で相手を殺すこたあない。相手が迷惑だろう。だからそこは変更する。だからって気を緩めて仮面を簡単に剥がされるような油断や弱さは褒められたことじゃない。何より本来、アテナの聖闘士は男だけだってのを忘れちゃいけない。可憐な女性聖闘士たちには酷かもしれないが、女に戻って愛するのがゴメンだったら、殺す気で相手を倒すことさ」

それを聞いて、周囲の皆は内心こう思っていた。
(聖域の女性聖闘士は、仮面を取られずとも男をぶちのめすような豪傑ばかりだろ)
邪武だけこう思っていた
(ちょっとだけ、ぶちのめされてみたいかな…)

魔鈴はそんな皆の反応を承知の上で、素知らぬ顔で次の裁定に入っている。ただ、魔鈴はこうも思うのだった。
(今生のアテナの様子じゃ、恋愛に興味も出てきたようだし…そのうち女性禁止の発令も無くなって、仮面なんざ付けなくてもいい日が来るかもしれないねえ)

そして彼女は、未だ行方知れずの沙織と星矢を想い、二人の無事を祈るのだった。

2006/12/20

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