JUNK2006-2007
◆故郷の祭り
今日も相変わらず双児宮デートをしているラダマンティスとカノン。ラダマンティスにとっては、もうすっかり勝手知ったる守護宮内部で、敵地であるのに寛ぎまくっているのだった。
カノンの部屋の中でふとカレンダーを目に留めた翼竜は、なにげなく言葉を漏らした。
「もうすぐクリスマスか…故郷の祭りを思い出す」
情人が珍しく昔の話を始めたので、カノンは興味深そうに耳を傾けた。
「俺の生まれた島では、クリスマスに皆でチェーンダンスを踊るのが慣わしだった」
「へえ、アンタが踊るのか」
「子供の頃の話だがな。フェロー諸島では国民総出で熱狂的に踊るのだ。その後も、町内単位で朝まで続けられる。まさに祭りに島が飲み込まれる様相だ」
「なあなあ、踊って見せてくれよ」
「いやアレは…皆でするものであって一人では…先導役もいるし…」
「じゃあオレも一緒に踊ってやるからさ!」
なんだかカノンは乗り気だった。仕方が無くラダマンティスがその様式を教えてやると、海龍は笑い転げながらも教えられたとおりに身体を動かしている。
「カノン…それではただの地団太だが…」
「アンタだって地団太にしかみえねえ!下手くそ!」
「実際には古謡もつくのだ」
「じゃあそれも歌えよ、合わせるから」
二人でぶつぶつ呟きながら(一人は歌いながら)地団太を踏んでいると、いつのまにか様子を見に来たサガが無言でそれを見つめていて、遠い目のまま何も言わずに隣室へ去っていった。おそらくチェーンダンスには見えていなかったものと思われた。
カノンは気にしなかったが、ラダマンティスは落ち込んだ。
2006/12/16
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