アクマイザー

JUNK2006-2007


◆お触り禁止

カノンの勧めにより双児宮の風呂で仕事の疲れを落としていたラダマンティスは、続いて浴室へ入ってきた双子たちに湯船の中で呆然としていた。
恋人であるカノンだけならともかく、その兄に対する心構えなど突然すぎて出来ていない。
双子とはいえ、今日の彼らは直ぐに見分けがついた。片方は艶やかな黒髪で、その双眸には紅く傲慢なまでの意思の光がともっていたからだ。
黒髪のサガの小宇宙も気配も、とても聖闘士のものとは思えず、自分の情人が海龍であるとするならば、この兄は闇の深遠に潜みとぐろを巻く暗黒の蛇のように思われた。

黒サガと目があうと、彼はフンと鼻をならし「冥界の犬が、随分私の弟と親しくしているようだな」と見下してきた。後ろにいるカノンが(今のケンカ売ってるんじゃなく、挨拶だから!)と黒サガ的言語を翻訳し、小宇宙通信によるフォローを飛ばしてくる。
挨拶で犬呼ばわりされた冥界の重鎮が返事に困っていると、その倣岸不遜な海龍の兄は湯船の中へ足を下ろし、真っ直ぐにこちらへ歩いてきた。
湯船は彼の腰を隠すほどまで深くは無いので、少し目のやり場に困る。
全裸であることをまるで気にもせずに翼竜の前まできた黒サガは、すとんとそこへ腰を下ろした。
そして、まるで工場の商品の検分をするように、ラダマンティスの身体をねめつけている。
不躾な視線に、さすがに黙っていられなくなって翼竜は口を開いた。
「男の身体がそれほど珍しいか」
わずかに不快を篭めた語調にもサガは全くひるむ様子は無い。
「冥闘士というのは冥衣がなければ常人と変わらぬと聞いていたが、流石に三巨頭ともなると鍛えているようだな」
何のてらいもなく黒サガの指が伸びて、筋質の確認とばかりに上腕へ触れてくる。
思わず逃げ腰になりかけた翼竜と黒サガの間へ、慌ててカノンが割って入ってきた。

「勝手に触っていい風呂はソープランドだけなのだ、サガ!」

2006/11/09

[NEXT] / [JUNK]


[BACK]
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -