アクマイザー

ホーム(タナサガ&ラダカノ)


「お前さあ…そいつをあの二流神のところへ持っていくつもりか」
盛大な呆れの色を隠さぬまま、カノンはリビングにいるサガに声をかけた。
ミニツリーの飾り付けをしていたサガが、びくりと固まる。
「な、何故判ったのだ」
「何故もなにも…ツリー先端の星が銀色な上、金の星のオーナメントがあるかと思えば六芒星だしな…」
珍しくサガが異教の行事アイテムを買って来たかと思えば、こともあろうに冥界へそれを持ち込む気でいると判り、カノンは大仰に溜息をつく。
「タナトスにケンカ売るのか?それ使って」
「そんな訳がなかろう!」
「しかし、復活・異教神・聖誕祭・常緑樹・元太陽神崇拝…クリスマスのキーワードのどれをとっても死の神が嫌がりそうなものしかねえだろ」
「うっ…そ、それは少しだけ、私もそう思ったが…」
返答を返すサガはどこか歯切れが悪い。
「神仲間とはいえ、全然関係の無い神の誕生日アイテムなんざ、持ち込まれた方だって困るぞ」
「神同士、関係あるかもしれないだろう!」
「…お前、タナトスとハリストスが友達だと思うか」
「………思わん」
「そうだろ」
ションボリしたサガを尻目に、カノンはそのツリーを窓際へおいた。
「ま、ここ双児宮に置く分には問題ないんじゃねえの?」
「女神もハリストスと友達ではないと思うが…」
「まだ目指すところは近いさ」
カノンは笑って、『それに』と付け加える。
「聖夜に家族を放って冥府なんぞへ降りるなよ」
サガは目を丸くした。
「お前…ラダマンティスはどうするのだ」
「ここに呼びつける。前に話さなかったか?」
不思議そうに問うカノンの前で、サガは俯いた。
「ああ、聞いた…その…私が居ては邪魔だろう」
言ったとたんに、カノンの拳骨が振り下ろされる。
「サガ、お前もしかして、そのために無理矢理な予定を作ろうとしたな!」
「痛いぞ、カノン」
サガが涙目で頭を抑え、カノンは自分の予測が正しい事を知る。
「いちゃつくために呼ぶんじゃねえよ。オレにとってはお前と暮らす場所がホームだ。それを聖夜にあいつへ見せたかっただけで…全く」
カノンは先ほどとは異なる溜息を大きく零して、サガの髪をわしゃわしゃとかき回した。


(2008/12/21)
ハリストスはキリストのギリシア読みです。

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