2008ロス誕(ロスサガ)
「どういう事か説明してもらおうか」
サガがアイオロスに静かに問いかけた。
語調は静かだが背後に沸き立つ小宇宙には深い怒りが見て取れる。
慈悲深い神のような男も、今のアイオロスに対しては遠慮が無い。
実際には過去の負い目もあり、何か対立するような場面があったときには無条件でアイオロスに折れるつもりでいるサガなのだが、それは真面目な用件に限る。
「いや、その、前回俺だけ見れなかったから…アイオリアには見せておいてずるいじゃないか」
「見せに行ったのではない!教皇宮へ上がる途中に獅子宮があっただけだ!しかもそれは私ではなく、もう一人のアイツだ!そもそも何がずるいのだ。そんな理由で女神にこのようなくだらぬ事を頼み込むなど、教皇候補のすることか!」
「くだらなくないぞ!俺だってサガのうさ耳姿を見たかったんだ!」
子供のケンカと変わらない口論の原因は、サガに頭に揺れる兎耳。
以前、女神による『サガ&アテナのイメージアップ戦略』の一環として、黒サガと女神(そしてトバッチリを受けたカノン)がうさ耳を生やしたことがある。その時アイオロスは任務で聖域を留守にしており、半日で終了したキャンペーンの恩恵(?)に預かる事はできなかったのだ。
そのため、アイオロスは誕生祝いの贈り物として、女神へ「うさ耳のついたサガ」を頼んだのであった。
「メイド服姿を頼む事だって出来たのを我慢したんだぞ!」
「馬鹿かお前は!!!」
怒鳴るサガは怒りのためか黒サガ成分がかなりまじり、統合サガ化してきている。
「お前がそのつもりならば、このサガも女神に謹上再拝奉る!お前の頭にもうさ耳をつけるようにな!」
「俺は構わないよ。その代わり君の耳を存分に触らせてくれる?」
「何だと!?」
そんなわけでアイオロスの誕生を祝いに人馬宮へ訪れた雑兵や聖闘士一同は、そこでうさ耳を揺らしている身長190センチ近い男二人を見る羽目になり(しかも片方は不機嫌に物凄い威圧感を放っており、本日の主役は耳を絡ませる勢いでサガへ顔を近づけている)例外なく遠い目で帰る羽目になったのだった。
(2008/11/30)
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