アクマイザー

2007バレンタイン(ラダカノ)


日本のサブカルチャーに興味を持つアイアコスから、さまざまなオタカルチャーを一方的に伝授されるラダマンティスだが、ちっとも把握できない毎日だった(もっとも、ラダマンティス側に覚える気もないのだが)。
とくに理解に苦しむのが「萌え」や、それに関連する単語の数々。
(LIKEとどう違うのだ?ツンデレ?猫耳?)
翼竜はその真面目さゆえに、一応はガルーダの話を聞いてやるのだが、正直なところ右の耳から左の耳へ流れていく状態なのだった。

そんなある日、ラダマンティスはカノンから地上・ロンドンへの呼び出しを受けた。
まだ自分の恋心にはっきりと自覚のある翼竜ではなかったが、2月14日の逢瀬ともなると、無意識のうちに淡い期待をしてしまう。

当日は、誕生日であるハーピーへきちんと祝いの品物を送り、部下たちとの食事会もこなした後に行くというあたり、真面目な上司っぷりだった。

待ち合わせの記念碑の下へ向かうと、そこには既に厚めのコートを着込んだカノンが立っている。
長身のすらりとした立ち姿は、遠目からでもひときわ華やかで、それでいて彼は目立たぬよう気配を殺すことに長けていた。思わずラダマンティスはしばし見惚れた。
直ぐにカノンが気づいて視線を合わせてきた。戦闘時には高揚を起こすその強い視線も、今はどうにも照れくさくて視線を逸らせてしまう。
「待たせたな…寒くはないか」
誤魔化すように話しかけると、カノンは肩をすくめた。
「それほど待っていない。それに、呼びつけたのはオレだ」
「お前から呼び出しとは珍しいが…」
「ああ、バレンタインだし…お前には世話になったから、これを渡そうと思って」
照れているのはカノンも同じらしい。微妙に早口で翼竜に花束と何かのブランドの箱をを押し付けてきた。
「カノン…これをオレの為に、買ってくれたのか」
ラダマンティスが贈り物を抱え、ぱあっと明るい顔になったのを見ると、カノンは慌てて言い訳を始めた。
「ち、違うぞ、それはサガ用に買ったのが余っただけだ!お前の為じゃねえ!」


翼竜はこの日初めてツンデレの意味を理解した。
ついでに、バレンタインで兄用の花束を買うカノンに突っ込んでおいた。


(2007/2/14)

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