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蘭丸さんを見送った後、部屋に入るなり葉瑠ちゃんは静かに肩を落とした。

「まぁ、なんだ。やよいちゃんが前々から黒崎蘭丸と関わりあるのは聞いてたから可笑しくないとしていきなりご本人登場なんて本気でビックリしたよ……」

「あははっ、案外優しそうだったでしょ?」

葉瑠ちゃんは私の言葉に優しく微笑み頷く。

「まあ、確かに」

見た目こそ蘭丸さんは少しきついイメージを与えるけれど、関わってみれば優しくて頼れる人なのだ。

そしてさらには面倒見も良くて料理も出来てまさに誰もが惚れるような男性。

まぁ、それは知り合い贔屓という感じになるかもしれないが。

私は目の前でゴロゴロとベットの上で寝転がり始めた葉瑠ちゃんに枕をぶつけて自分も同じようにベッドの上に倒れ込んだ。

すると、ゆっくりと身体を起こしこちらへ視線を送ってきた葉瑠ちゃん。

私はそんな彼女の行動にそのままの体勢で首を傾けた。

「ん?」

途端、真剣な表情で私を見る彼女。

彼女はそのまま笑顔を浮かべると頬を掻き始めた。

「なんか、やよいちゃんって私より随分遠くにいるんだなーって思ってさ」

私はその言葉に更に首をかしげ次の彼女の言葉を待つ。

「……うーん、なんて言うか私か知らない間にやよいちゃんってば段々と本格的に芸能界に進出していってるからさ」

確かに私は彼女からすれば彼女よりも前にいるかもしれない。

でも、私からすれば少し違うのだ。

「……あのね、葉瑠ちゃん。私がこうやってそういう風に前に進めるのはただ人よりちょっと運があるからだけなんだよ。本当は今の企画にもきちんとした関係者の人がいた。でもその人が急に無理になって学園長が仕方なく生徒から代表を数人出したそれだけ」

葉瑠ちゃんはパチクリと瞬きを繰り返し少し困ったような笑みを浮かべる。

「もう、ほんとネガティブなんだからこの子は!」

彼女はそのまま私の上にのしかかって来ると、私の身動きを止め脇をくすぐり始めた。



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