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夜、消灯時間になったところで私は蘭丸さんと共に葉瑠ちゃんがいる自室までの帰路を歩んでいた。

「で、お前の部屋は何処だ?」

「えっと、その先をまっすぐ行って曲がった所です」

そして、そういって曲がるなり見えてきたのは私達の部屋。

私は駆け足で部屋の前へ行くと鍵を開けた。

「た、ただいま……」

すると、部屋の扉を開けるなり仁王立ちでこちらを見ている葉瑠ちゃん。

私は口元を引き攣ららせながら扉を一度閉めた。

「……おい、なんで閉めた?」

蘭丸さんが私の隣に立って不思議そうに扉に手を掛ける。

「……開けたらわかりますよ」

「お、おう」

ゆっくりと手を掛けたドアノブを回す蘭丸さんと、それを眺めながら色々と思案する私。

完璧に扉が開いたところで私は蘭丸さんに顔を向けて苦笑を漏らした。

「扉を閉めた理由わかりましたか?」

「まぁな……」

引き攣る口元をどうにか抑えて葉瑠ちゃんを見る蘭丸さんと、そんな蘭丸さんと私をにっこりと見詰める葉瑠ちゃん。

「おかえり、やよいちゃんと……何か知らないけどアイドルの黒崎蘭丸さん?」

私は慌てて葉瑠ちゃんに駆け寄り蘭丸さんを部屋へと入れた。

「葉瑠ちゃん、話聞いてくれる……?」

「聞くよ。っていうか、話してくれなきゃヤダ」

葉瑠ちゃんは拗ねた様子でそう告げ、見かねた蘭丸さんが私の頭に手を乗せて説明を始める。

「なんつーか、あれだ。コイツは今俺の所属するグループのQUARTET★NIGHTの新曲を社長本人から直々に任されてる。だから今日はその打ち合わせで親父たちと話をした後に学園の外に飯に行って消灯時間まで預かってたって訳だ」

「それって、校則的にいいんですか?」

「本当はダメだ。だが今回は特別だ」

葉瑠ちゃんは静かに溜め息を吐くとこちらに向き直る。

「……理由は分かりました。でも、やよいちゃん。これからはこういうことは早く言ってくれないと私本当に心配したんだからね!」

「うん、ごめんね……」

「次はないからね!」

一気にギュッと私の手を取るなり私の瞳をじっと見てくる彼女と、その瞳を見ながら薄く笑う私。

蘭丸さんはそんな私達を見るなり「いい奴に出会えて良かったな」といって部屋を出ていった。


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