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眼鏡の彼が消えてから暫くその場でボーッとしていること数分。

再び私の横を彼が笑顔で会釈しながら通り過ぎて行った。

そして、その様子を見ていた美風さんが口を開く。

「あのさ、今更だけど何でさっき彼の質問に答える時にキミあんなに嫌そうな顔したの?」

私は出来るだけ笑顔を保ち言葉を濁す。

すると、次に無駄にキラキラと瞳を輝かせながらこちらを見たのは嶺二さん。

彼は机に手をつきながら身をこちらに乗り出してきた。

「ねぇ、僕ちんやよいちゃんのお姉さんがどんな子か知りたいな!」

彼の言葉に無意識に脳裏に姉の笑顔が浮かぶ。

正直に言ってしまえば、私自身姉さんのことが心の底から嫌いな訳ではない。

でも、どうしても姉さん本人が目の前にいると私の醜い感情が湧き出てきて抑えられなくなる。

「……姉は、優しくて明るい人ですよ」

ポツリと無意識漏れた言葉。

蘭丸さんが目を細め私を見ている。

嶺二さんが私の手を取りへらりと笑いながら声を上げた。

「ねぇねぇ、僕ちん凄くやよいちゃんのお姉さん会ってみたいな!!」

「また、いつか……」

私は蘭丸さんの方へ目を向け笑った。


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