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あれから、夜まで時間があるので私達はすることもなくお店で会話を楽しんでいた。

すると、美風さんが言っていた部屋から一人の眼鏡をかけた青年が出てきた。

彼は私の横を通り過ぎるのかと思いきや私の隣で立ち止まり口開く。

「あれ、桃井やん。今日は来られへん言うてなかったか?」

不思議そうに首を傾けながら私に目を向ける目の前の人。

私は姉さんのことだと確信を持ち首を振るった。

「……あの、人違いです。恐らく貴方が言っているのは桃井さつきですよね?」

「そうやけど、その名前知ってるってことは知り合いか?」

「……桃井さつきは、私の双子の姉です」

言いたくないけれど言わなければいけないので視線を逸らしながら声に出した言葉。

目の前の眼鏡の青年が愉快そうに口元に弧を描いた。

「桃井に妹なんておったんか、初めて聞いたわ。じゃあ、青峰とも知り合いか?」

ニヤニヤと腹の底が見えない笑みを浮かべる目の前の人。

私は再び頷くだけ頷いた。

「……面白いこと思いついたわ。ありがとうな」

彼は最後に私達に頭を下げるとそのままトイレの方へと歩いて行く。

「……何だったの?」

私の言葉に美風さんは両手を使って分からないという動作をした。




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