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嶺二さんの車に全員乗ってやって来たのはとあるこじんまりとしたお店。

店内を見渡し呆気に取られる私の隣でオーダーを言い終えたんであろう美風さんが首を傾けた。

「君は頼まないの?」

その言葉に対し私はぶんぶんと首を横に振るうとメニューに目をやる。

そして、真っ先に目に入ったのはオムライスの文字。

これならば当たり外れもないだろうからと私はその名前を言った。

「あの、オムライスで……」

すると、オーダーを取っていたお姉さんは私の言葉に笑顔で接客してくれると注文の確認をとる。

「……以上で宜しいでしょうか?」

「はい」

「では、少々お待ちください」

嶺二さんの返事を聞くなり私達に背を向けて消えたお姉さん。

嶺二さんがこちらを向いてニッコリと笑みを浮かべた。

「ここね、料理も美味しいし接客もいいって僕たちの業界では人気のお店なんだ」

すると、頷く周りの三人。

美風さんが何処かに目を向けたと思うと私がその場所を見たと確認するなり口を開いた。

「基本、僕たちみたいな芸能関係者は仕切りがある部屋に案内されるんだけだ今日は何処かの団体が使ってるみたいだね」

私は彼の指さす部屋から視線を逸らさず感嘆の声を漏らす。

蘭丸さんが欠伸をひとつすると更に続けた。

「まぁ、飯食った後どうするかだな」

「え、お昼食べたら直ぐに学園に戻るんじゃ……」

嶺二さんが私を見て首を傾けた。

「え、やよいちゃんそう思ってたの?」

唖然とした様子でこちらを見る皆さんに私は逆に聞きたくなる。

「じゃなかったらどうするんですか?」

「……どうするもこうするも消灯時間になるまで貴様を学園に返すことはできんだろう」

「え」

固まる私と呆れた様子で私を見るカミュさん。

私は料理が来るまでただ呆然と彼らを眺めていた。

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