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みんなと別れたのがつい先程、私は学園内をフラフラと歩き回っていた。
「〜♪」
軽くリズムに合わせながら歩幅をたもちながら鼻歌を歌えばそよぐ風が緑を揺らしている。
私はふとこちらへ近寄ってくるヒールの音にその場で立ち止まる。
すると、現れたのは桃色の髪を揺らして笑顔で私に手を振る月宮先生。
「やよいちゃん!やっと見つけたわよ!!」
「え、どうかしたんですか?」
バッと私の手を掴んで来た彼女にそう尋ねれば人差し指を立ててウィンクをしてきた先生。
先生はそのまま私にこう言った。
「ふふっ、やよいちゃん。さっきシャイニーが明日の10時頃から例の四人の為に作る曲の話があるからって伝言よ!」
私はそれに対して一瞬呆気に取られるものの頷き先生に手を引かれるままその後ろに付く。
「でも、授業は?」
「仕方ないわよ。その代わり、大切な授業に出ないんだから凄い曲を作ってもらわなくちゃね!」
「努力します」
先生はふわりと私の返答に対して笑うとそのまま何処かへと消えて行った。
「......嵐みたいな人だな」
私の言葉はきっと先生には届いていない、と思う。
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