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みんなでわいわいと再び会話を初めて数十分。
黒子くんたちの座る席の方から私を呼ぶ声がした。
「やよいっち、ちょっと……」
「僕からもお願いします」
私を手招きする黄瀬の横で頭を下げる黒子くん。
私は仕方なくみんなに断りを入れて立ち上がった。
「何?」
そして、私を知る三人の中の二人が目を逸らす中で目が合ったのは緑間。
彼は私に向けて告げた。
「何故お前は卒業後直ぐに消えたのだよ」
思わぬ問い掛けに驚くのも無理はない。
私は笑顔を作ってそれに対してとある言葉を発した。
「別に答えてもいいけどさ、少しだけ癇に障るからクイズを出します!」
さすれば、今度は向こう側が呆気に取られる版だ。
黒子くんの隣と前の赤髪くんと黒髪の人すらも馬鹿みたいに口を開けている中、私は関係無いとばかりに続けてやった。
「私は所詮は換えの効く存在なのです」
緑間達は意味が分かったのか目を見開きその場で固まった。
私はその隙を逃がさない。
「……じゃあね」
くるりとその場で足を翻せば向こう側で不思議そうに私達を見るみんながいる。
そして、一歩足を踏み出した時に緑間が私の腕を掴んだ。
「待て、桃井。お前は何故そう思うんだ?」
純粋な彼からの疑問。
私は一度だけ彼の方を振り返って笑う。
「……私が居なくなっても何ともなかったでしょ?」
直後、気まずそうに視線を逸らすキセキと黒子くん。
私は改めて足を私を待つみんなの方へ向けて歩き出した。
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